メッセージ

教授 清野 宏
e-mail:kiyono@ims.u-tokyo.ac.jp

私は、ヒトの体を守るシステムを理解する『免疫学』の中で、口や鼻から始まる消化器や呼吸器の広大な粘膜面に免疫機構が存在することを証明し、『粘膜免疫学』という新領域創生に関わり、『粘膜免疫の神秘』、すなわち私の『夢』を今なお追い続けています。私たち『炎症免疫学分野』は、東京大学医科学研究所の温かいご配慮により、新生『粘膜免疫学部門』としてさらなる研究活動に取り組み、粘膜免疫学を基盤とした「飲むワクチン・吸うワクチン」による腸管・呼吸器感染症予防という、 医科学研究の最終目標である「世の中の人の役に立つ」 というステージに到達するために、現在も日々たゆまない努力で邁進しています。

私たち研究室のモットーは『ポジティブ思考と継続する力』です。私は、大学卒業後アメリカへ留学、医学系大学院を目指し、そして粘膜免疫学に魅了され研究に没頭してきました。40年の長い研究生活の間、実験で多くの失敗も経験し、長いトンネルをさまよっていた時期もあります。そのような時も、「その先には輝く未来がある!」と漠然とした希望を持ち、”No problem!(大丈夫ダヨ、何とかなるさ!)”という自分の楽天的ポジティブ思考にいつも助けられて来たのです。そして、決して諦めず、その紆余曲折の継続が、沢山の国内外の有能な仲間にめぐり逢う幸運をもたらし、彼ら・彼女らの指導や協力なくして今日の私たちや研究の成功はありえないと言っても過言ではありません。その素晴らしい仲間との研究が純粋に楽しく、また、さらなる研究への探求心を限りなく駆り立てられてきたのです。

大学という自由な環境の中で、知的発想と好奇心に始まった研究に没頭し、研究成果を発信し続けてきました。また同時に、将来さらなる研究成果を生み出す「若手研究者の育成」にも力を入れてきました。当研究室から多くの科学者が独立を果たし、卒業生たちもアメリカやヨーロッパそしてアジアの国々の研究室で、またグローバル企業において目覚ましい活躍を遂げています。このように、 当研究室で培った研究基盤と研究理念を胸に、より高みを目指し力強く羽ばたいていく卒業生たちを送り出すことは、限りなく大きな喜びであり、次世代を担う研究者を今後も継続して多数輩出することに尽力していきます。

私自身、そして研究室の皆がこれからもさらなる飛躍を目指し、努力を続けていく所存です。私たちとともに、粘膜免疫学の神秘に触れ、そしてさらなる解明を成し遂げ、新しい病気の予防、治療法の開発研究も試みてみたいと思われる方は、是非、研究室を訪ねて来てください。皆様にお会い出来ることを心から楽しみにしております。