希少疾患は患者数が少なく、研究開発には国内に留まらず国際的なゲノム・臨床情報の共有が不可欠である。これまで、早期診断や治療法開発などの患者・家族にもたらされるベネフィット(利益)が、非常に希少な疾患ゆえのプライバシーリスクを上回るという前提のもと、データ共有と学術的な利活用が推進されてきた。しかし近年、産業界や海外機関を含む広範な利活用が進むにつれ、ゲノム解析研究への参加に伴うリスク-ベネフィット評価は一層複雑化している。新たに生じる懸念に対応し、研究の透明性を確保する手段の一つとして、研究参加者や患者・家族コミュニティの代表者が研究デザインや利活用のあり方に助言を行う患者・市民参画(PPI:Patient and Public Involvement)が実践されてきた。現在、国内外での大規模なゲノム・臨床情報を用いた研究プロジェクトにおいて、PPIはガバナンスの公共性の確保や研究の安全性・有効性を高める要素として重視されている。報告者はこれまで、希少疾患のゲノム解析研究への参加がもたらすプライバシーへの懸念や、患者や血縁者に与える影響を明らかにするため、質的調査や患者・家族との意見交換を重ねてきた。本セミナーでは、希少疾患領域におけるデータ利活用を推進するための国内外のガバナンス動向と、それを支える重要な柱であるPPIの実践状況を紹介する。その上で、これまで行ってきた社会調査の知見をもとに、今後国内でも議論を深めるべき希少疾患のゲノム研究のELSI(倫理的法的社会的課題)について展望したい。
希少疾患のゲノム・臨床情報の利活用と患者・市民参画(PPI)~国内外のガバナンスと実践の動向
学友会セミナー
開催情報
| 開催日時 | 2026年3月18日 16:00-16:50 |
|---|---|
| 開催場所 | Zoomによるオンライン開催 |
| 演者 | 渡部 沙織 |
| 所属・職名 | 東京大学医科学研究所ヒトゲノム解析センター公共政策研究分野・特任研究員 |
| 国名 | 日本 |
| 演題 | 希少疾患のゲノム・臨床情報の利活用と患者・市民参画(PPI)~国内外のガバナンスと実践の動向 |
| 世話人 | ◎井元清哉・健康医療インテリジェンス分野 〇武藤香織・公共政策研究分野 |
| 備考 | https://u-tokyo-ac-jp.zoom.us/j/82099152665?pwd=9b12PlQBDN3PuyMedAEabLtYacyFhb.1<br /> ミーティング ID: 820 9915 2665<br /> パスコード: 395358<br /> |
