眼(網膜)の発生、再生研究プロジェクト
私達は2000年度より神戸再生発生センターとの共同研究事業として眼の発生再生研究 をはじめました。研究は眼の初期発生の メカニズム研究、網膜幹細胞の単離の研究、ES細胞などによる網膜の再生研究の大きな3本柱を中心に展開しています。 研究材料としてはノックアウト、トランスジェニックなどのマウス発生工学、マウス 網膜の培養系、受精卵へのRNA、 モルフォリーノオリゴなどのインジェクションにより早い解析が可能なゼブラフィッシュ、マウスES細胞を主に用いています。 最終的に はこれまでのシグナル伝達研究のバックグランドを生かし、眼の発生過程の制御機構につなげたいと考えています。
網膜の初期発生にかかわる新規遺伝子の探索:
マウス、ゼブラフィッシュをもちいて differential display,in situ screeningなどにより網膜の初期発生にかかわる遺伝 子の単離を試みています。マウスを用いて遺伝子を単離した場合もゼブラフィッシュですぐにホモログを単離し、 眼の発生への機能解析をゼブラフィッシュを用いて行 う、興味のもたれそうな機能を持つ遺伝子についてノックアウトマウスを 作成するという方法で現在いくつかの新規遺伝子の機能解析を中心に解析をおこなっています。
ゼブラフィッシュ眼特異的プロモーターを用いた眼の発生機構の研究:
ゼブラフィッ シュ水晶体、網膜、網膜色素上皮細胞などに特異的なプロモーターを単離し、その制御下に さまざまな機能遺伝子(シグナル伝達分子、転写因子など)を発現させ眼の発 生機構を検討しています。 水晶体特異的な アルファクリスタリンプロモーターに続いて、未分化網膜細胞特異的なプロモーターも複数単離し、細胞接着、シグナル伝達、 転写制御などさまざまな関 点から眼の発生機構を探ろうとしています。(Kurita et al. Dev.Biol. 255, 113-, 2003)
ES細胞からの網膜再生研究:
マウスES細胞は神経系への分化誘導がさまざまなやり方 で可能です。網膜が中枢神経の一部であり、 前脳の一部から網膜の領域が決定され分化していくことをかんがみ、マウスES細胞に網膜特異的遺伝子を導入することにより ES細胞を網膜様に分化させようという試みを行っています。このため、さまざまな移植系の立ち上げをおこないました。
網膜幹細胞の探索:
中枢神経の幹細胞研究が進展する一方で網膜の幹細胞については その存在や実体についてあきらか ではありません。私達は血液幹細胞研究でつちかってきた細胞分画、細胞系譜の追跡などの知識と技術を駆使し、ES細胞 分化研究で立ち 上げた移植系をくみあわせ網膜幹細胞の単離をめざしています。