●IL-5はT細胞や肥満細胞から産生されるサイトカインであり、B細胞や好酸球に作用し、その増殖・分化を誘導する(図:IL-5)。IL-5は特異的受容体(IL-5R)を介してB細胞や好酸球、好塩基球に作用し(図:IL-5)、自然免疫、粘膜免疫系の制御、アレルギー病態の形成・維持に深く関与していると考えられる。我々の研究部ではこれまでIL-5生理活性の発見、遺伝子単離、IL-5Rの遺伝子同定を世界に先駆けて行ってきた。

●さらにIL-5/IL-5R系の生理的意義の解明を目的として、そのシグナル伝達機構、発現調節機構の解析を進めている(図:IL-5R&signal)。IL-5とCD38刺激によるB細胞の増殖および抗体のクラス変換機構(図:IL-5&CD38)、種々の遺伝子改変マウスを用いたIL-5受容体特異的なIL-5Ra鎖の個体免疫システムにおける機能解析(図:IL-5R_ mutants)、IL-5Rを恒常的に発現するB-1細胞の生体防御や腸管免疫における機能(図:IL-5&B1)、B細胞の分化・活性化とともにIL-5シグナル伝達に重要なBtkチロシンキナーゼの生理機能およびBtk会合タンパク質の単離と解析(図:BAM)、IL-5と種々の免疫病態との関連等について解析している。

●B細胞表面上のCD38を刺激するとB細胞の活性化、IL-5Rの発現上昇やNF_Bの活性化が起こる。さらにIL-5との共刺激でB 細胞は著しく増殖し、IgM産生細胞への分化やIgG1産生細胞へのクラススイッチを行う。このIL-5によるB 細胞の終末分化や抗体のクラススイッチには、JAK2によってチロシンリン酸化され活性化される転写因子Stat5が重要であることが分かった。現在、IL-5の標的遺伝子についてGeneChipを用いた発現解析を行い、誘導される遺伝子の同定と機能解析を行っている(図:IL-5 target genes)。  

●BtkのPH領域に会合する分子BAM11を単離し、このBAM11がIL-5刺激によるBtkの活性化に重要な役割を果たしていることを明らかにした(図:BAM)。BAM11は主に核に存在し、Btkもその一部が核に存在する。GAL4-BAM11融合蛋白質はGAL4認識配列を持つレポーター遺伝子の転写を促進し、Btkの共発現によりBAM11の転写促進活性がさらに上昇することがわかった。PH領域欠損型、キナーゼ活性欠損型、およびXid型のBtkの共発現では転写促進活性の上昇はおこらず、またTec/Btkファミリーの一つであるItkでも活性の上昇はみられなかった。BAM11とBtkの相互作用による新しい転写制御機構の存在が明らかになりつつある(図:BAM&Btk)。


   

IL-5


IL-5&CD38


IL-5&B1


IL-5 target genes

IL-5R&signal


IL-5 mutants


BAM


BAN & Btk