研究内容

TLR4/MD-2の細胞内移行のメカニズムの解析

TLRは、細胞表面に発現し、細菌由来であるLPS (Lipopolysaccharide, エンドトキシン)、リポペプチド、ペプチドグリカンなど認識するTLR1、TLR2、TLR4/MD-2、TLR5、TLR6と細胞内に発現し核酸を認識するTLR3、TLR7、TLR8、TLR9に分けられます。TLRのリガンドはすでに明らかになっていますが、病原体由来のリガンドは、病原体の種類によって構造が変わり、その違いがTLR応答に影響することが知られています。たとえば、ペスト菌由来のLPSはノミの中では脂肪酸側鎖が6本ですが、ヒトの中では4本に変わります。ヒトのLPSセンサーTLR4/MD-2は6本鎖のLPSには応答しますが、4本鎖のLPSには応答できません。ペスト菌は、ヒトの攻撃を避けるためにLPSの構造を変えていると考えられています。また、LPSの構造が変わると、TLR4の下流で、誘導される炎症性サイトカインとインターフェロンの産生のバランスが変わることも分かっています。リガンドの構造が如何にしてTLR応答に影響するのか、明らかにすることが、病原体と宿主の関係を明らかにしてゆく上で、重要であるとわれわれは考えています。

LR応答がリガンドの構造によっていかに影響されるのか、分子レベルでの理解には至っていません。我々はリガンドと応答の関係を明らかにするうえで、TLRの細胞内局在が重要であると考えています。最近我々は、TLR4/MD-2の、リガンド刺激後の細胞内への取り込みが、インターフェロン産生に大きく関わっていることを見出しました。つまりTLR4/MD-2は細胞内の局在の違いによって誘導する応答が異なる可能性が考えられます。TLR4/MD-2の細胞内局在が如何に制御されているのか、分子レベルでの解明を目指しています。

TLR4の細胞内への移行はI型インターフェロン産生と関連している

TLRの細胞表面への発現と包括的活性制御機構の解析