当感染遺伝学分野では、生体内において、基本的なホメオスタシス機構であり、同時に多くの疾患に関与する免疫システムを分子レベルで理解し、得られた知見を用いて、感染症をはじめとする多くの疾患の新たな制御法の開発を目標としています。具体的な手法として、タンパクの精製、解析、アミノ酸配列決定や質量分析による同定などの生化学的な手法、機能的なcDNAクローニングやYeast two hybridなどの分子生物学的手法、ノックアウト、ノックインマウス作成及びその解析などの遺伝学的、発生工学な手法、さらにモノクローナル抗体作成など、細胞生物学的な手法を用いております。
また、教育面では、これらの手法をマスターすると同時に、自分自身のアイデアを自分で考えた計画に基づいて実行し、結果が得られるようになるような人材の育成が目標です。卒業後の進路としては、ポスドクとして、米国など海外への留学あるいは製薬会社への就職などがあります。ポスドクとして研究した後、国内で、准教授として、活躍している人も2人ほどいます。
研究の喜びは、自分の仕事を形として残せることです。大学までは、教科書があり、同じ条件のもとで、競争をします。そこには、成績の良し悪しはあっても、それ以上の違いはありません。研究は、この点で大きく異なります。他の人と同じ研究をしても、最初の報告以外はほとんど残りません。その業績が誰によるものなのかについては、研究者の間で厳密な評価が下されます。そのうえで、あなたの貢献であると認められた場合には、その業績ははっきりとした形で残ります。さらに、あなたの結果を前提に海外も含めた多くの研究者が次の実験を始めてゆくこともあります。
自分が研究において何らかの貢献をし、それが、空間的に広がり、時間的にも残っていくという喜びは、何物にも換え難く、経験してみなければわかりません。一人でも多くの、研究を目指している学生さんにその喜びを経験しうるために必要な環境を提供できれば幸いです。