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発表論文解説

PRAT4A(PRotein Associated with TLR4)はTLRを介する免疫応答に必要である

J.Exp.Med. 204: 2963-2976, 2007
高橋浩一郎1,3、柴田琢磨1,3、高村(赤司)祥子1,3、清川貴志1、若林靖貴1、谷村奈津子1、小林俊彦1、松本文1、福井竜太郎1、紅露拓2,4、長井良憲2,4、高津聖志2,4、斉藤伸一郎1 、三宅健介1
1: 東京大学医科学研究所・感染免疫部門・感染遺伝学分野
2: 東京大学医科学研究所・感染免疫部門・免疫調節分野
4: 富山大学大学院医学薬学研究部(医学)寄付講座・免疫バイオ創薬探索研究講座
3: These authors contributed equally to this study.
A protein associated with Toll-like receptor(TLR)4(PRAT4A) is required for TLR-dependent immune responses. Koichiro Takahashi, Takuma Shibata, Sachiko Akashi-Takamura, Takashi Kiyokawa, Yasutaka Wakabayashi, Natsuko Tanimura, Toshihiko Kobayashi, Fumi Matsumoto, Ryutaro Fukui, Taku Kouro, Yoshinori Nagai, Kiyoshi Takatsu, Shin-ichiroh Saitoh, and Kensuke Miyake J.Exp.Med. 204: 2963-2976, 2007

TLR(Toll-like receptor)はヒトからハエまで種をこえて保存された病原体認識分子群である。ヒトでは10種類のTLR(TLR1-TLR10)が同定されており、各TLRが病原体構成成分をそれぞれ認識し免疫防御反応が誘導される。たとえば細胞表面に発現しているTLRのうちTLR1/2はバクテリア由来のリポ蛋白質を、TLR4はグラム陰性菌細胞壁のリポ多糖(LPS)を認識する。 07120401.pngまた細胞内TLRのうちTLR3はRNAウイルスの2重鎖RNAを、TLR9は原核生物やウイルスの非メチル化CpGDNAを認識する。 07120402.png このように各TLRが病原体センサーとして機能していることは明らかとなったが、これら各TLRを介する活性化シグナルがどのように統合されてひとつの免疫応答となるのか、その制御機構はまだわかっていない。われわれが同定したTLR4会合分子、PRAT4A(PRotein Associated with TLR4)はその統合に関わる分子のひとつとして考えられる。われわれはPRAT4Aのノックアウトマウスを作製した。その結果、1.PRAT4AはTLR4のみならずTLR1,TLR9など他のTLRともERで会合しており、これらTLRのERからのトラフィッキングにはPRAT4Aが必要であること、2.PRAT4AノックアウトマウスではTLR3には影響ないがTLR7,9などの細胞内TLR応答は消失し、TLR1,2,4などの細胞表面TLR応答は部分的に残っている、というように個々のTLRによってPRAT4A依存性が異なることから、PRAT4AはTLR相互の免疫応答バランスを調整していることが考えられること、3.PRAT4Aノックアウトマウスはエンドトキシンショックに抵抗性であることから、エンドトキシンショック誘導にはPRAT4A依存的な経路が必要であること、などが明らかとなった。今後PRAT4Aがエンドトキシンショック治療の新たなターゲットとなる可能性も示唆される。