東京大学医科学研究所

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発表論文解説

粘膜ワクチン開発に結びつく、経粘膜抗原取り込みに直接関わる分子を同定 -注射器・針が不必要な経粘膜ワクチン開発に期待-

Nature Communications (2月22日オンライン版) DOI番号:10.1038/ncomms14509
岸川 咲吏、佐藤 慎太郎*、金戸 聡、内野 茂夫、高坂 新一、中村 誠司、清野 宏*
Allograft inflammatory factor 1 is a regulator of transcytosis in M cells

東京大学医科学研究所の清野宏 教授と大阪大学微生物病研究所の佐藤慎太郎 特任准教授(常勤)らの研究グループは、粘膜面からの抗原取り込み口であるM細胞の機能発現に直接関わる分子として、Allograft inflammatory factor 1(Aif1)を同定しました。
 M細胞は粘膜を覆う上皮細胞の一種ですが、周辺の他の上皮細胞に比べて短くて疎な微絨毛を持っており、また、粘液を産生しないことから、管腔側の外来抗原が落とし穴に入るように取り込まれやすい状況を作り出しています。加えて、色々な微生物に対する受容体を管腔側表面に発現しており、それらの効率的な取り込みに寄与していることが報告されています。しかし、抗原を運び込むトランスサイトーシスという機能に直接関与する分子群はこれまで報告されていませんでした。
 今回の研究グループの研究成果により、Aif1は細胞の運動に関与するアクチンの動きを制御することで、外来抗原取り込み時に管腔側での細胞膜を変化させていることが示唆されました。一過性にAif1の発現や機能をコントロールすることが出来れば、粘膜型ワクチンの抗原取り込み効率を上げることや、逆に病原性微生物の侵入を阻止し感染予防を可能にすることが出来ると考えられます。