東京大学医科学研究所

  1. ホーム
  2. 最新研究成果■発表論文解説

発表論文解説

喘息を抑える新しいメカニズムの発見

published at http://www.cell.com/immunity at 12 p.m. (EST) on Tuesday, July 21
森田 英明1,2,3、新江 賢1,4、海野 浩寿1,5、宮内 浩典6、外山 扇雅1,7、南部 あや8,12、大保木 啓介1、大野 建洲1,9、本村 健一郎1、松田 彰10、山口 幸子8、成島 聖子8、梶原 直樹1、飯倉 元保11、須藤 一12、Andrew N.J. McKenzie13、高橋 孝雄2、烏山 一7,14、奥村 康12、東 みゆき8、茂呂 和世15,16、 Cezmi A. Akdis3、Stephen J. Gali17、小安 重夫15、久保 允人6,18、須藤 カツ子19、斎藤 博久1、松本 健治1、中江 進1,8,16
1. 独立行政法人 国立成育医療研究センター研究所 免疫アレルギー研究部 2. 慶應義塾大学 小児科学教室 3. Swiss Institute of Allergy and Asthma Research 4. 杏林大学 保健学部 免疫分野 5. 東京慈恵会医科大学 小児科 6. 理化学研究所 総合生命医科学研究センター サイトカイン制御研究グループ 7. 東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科 免疫アレルギー学分野 8. 東京大学 医科学研究所 システム疾患モデル研究センター システムズバイロオロジー研究分野 9. 東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科 分子免疫学分野 10. 順天堂大学大学院 医学研究科 アトピー疾患研究センター 眼科学講座 11. 独立行政法人 国立国際医療研究センター 呼吸器内科 12. 順天堂大学大学院 医学研究科 アトピー疾患研究センター 13. MRC Laboratory of Molecular Biology 14. 科学技術振興機構(CREST) 15. 理化学研究所 総合生命医科学研究センター 免疫細胞システム研究グループ 16. 科学技術振興機構(PREST さきがけ) 17. Department of Pathology, Microbiology and Immunology, Stanford University 18. 東京理科大学 生命医科学研究所 分子病態学研究部門 19. 東京医科大学 動物研究センター
An interleukin-33-mast cell-interleukin-2 axis suppresses papain-induced allergic inflammation by promoting regulatory T cell numbers

東京大学医科学研究所の中江進准教授らは、国立研究開発法人国立成育医療研究センター研究所などとの共同研究によって、気管支喘息を抑える新しい免疫応答機構を発見しました。
気管支喘息の治療は、ステロイドやβ-アドレナリン受容体選択的刺激薬の吸入による対症療法が現在の主流となっています。薬剤吸入によって気管支喘息を一時的に抑えることができますが、完治はできないため、長期間薬剤の継続投与をする必要性があります。そのため、気管支喘息の完治を目指す新たな治療法の開発が望まれています。
近年、欧米ではリウマチなどの自己免疫疾患や臓器移植での拒絶応答を抑える新しい治療法として炎症抑制機能を持つ制御性T細胞の移植が行われ、その有効性が示されています。制御性T細胞の移植は気管支喘息などのアレルギー疾患においても有効な治療法として期待されています。ただし、血中から取れる制御性T細胞は非常にわずかであるのに対し、この治療には、大量の制御性T細胞が必要となることが難点でした。
マスト細胞は、アレルゲンと結合したIgE抗体によって刺激されると、気管支喘息を含む様々なアレルギー疾患を悪化させる免疫細胞です。今回の研究成果は、マスト細胞は、IL-33という体内分子で活性化されると制御性T細胞だけを選択的に増やし、その結果、気管支喘息を抑制する作用があることを初めて明らかにしました(図)。このマスト細胞による制御性T細胞の新規誘導機構の発見は、アレルギーや自己免疫疾患、臓器移植での拒絶応答に対する新たな治療法の開発に寄与することが期待されます。
本研究は、国立研究開発法人科学技術振興機構 戦略的創造研究推進事業、 厚生労働省 免疫アレルギー疾患等予防・治療研究事業、 文部科学省 科学技術振興調整費 若手研究者の自立的研究環境整備促進、 日本学術振興会 科学研究費補助金 若手研究(A)、日本学術振興会 科学研究費補助金 若手研究(B)の一環として行われました。
本研究成果は、2015年7月21日正午(米国東部時間)、米国科学雑誌「Immunity」で公開されます。