東京大学医科学研究所

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発表論文解説

地球温暖化などがもたらす環境ストレス下で細胞が適切に応答する仕組み −高浸透圧によるキナーゼリン酸化増強作用の発見−

The EMBO Journal(オンライン版:2月3日) DOI番号:10.15252/embj.2019103444
Kazuo Tatebayashi*, Katsuyoshi Yamamoto, Taichiro Tomida, Akiko Nishimura, Tomomi Takayama, Masaaki Oyama, Hiroko Kozuka-Hata, Satomi Adachi-Akahane, Yuji Tokunaga, and Haruo Saito*
Osmostress enhances activating phosphorylation of Hog1 MAP kinase by mono-phosphorylated Pbs2 MAP2K

東京大学医科学研究所の舘林和夫准教授らの研究グループは、環境ストレスの一種である高浸透圧に対して、細胞がこれを正しく感知し、適切に反応する仕組みを明らかにしました。ヒトなどの真核生物のモデル系として知られる出芽酵母を用い、高浸透圧適応に働くストレス応答性MAPキナーゼ(MAPK)経路において、経路上流で働く既知の膜局在型高浸透圧センサーだけでなく、経路下流のMAPKのリン酸化過程に直接働く細胞質型高浸透圧センサーにも高浸透圧が作用して、MAPKの活性化に働くことを見出しました。この下流高浸透圧センサーの働きによって、高浸透圧応答経路の活性化は高浸透圧曝露時のみに起きるよう厳密に制御され、細胞の適切な環境ストレス応答が保障されることを明らかにしました。生物が特定の環境刺激に適切に応答する仕組みを明らかにした本研究成果は、地球温暖化に伴う苛烈な環境に対する耐性を動植物に付与する技術の開発や、環境ストレス応答の破綻に起因する疾病に対する治療法・治療薬の開発に役立つと考えられます。
 なお、本研究は東邦大学 医学部の冨田太一郎講師、赤羽悟美教授、産業技術総合研究所 創薬分子プロファイリング研究センターの徳永裕二研究員との共同研究として行われました。