東京大学医科学研究所

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発表論文解説

iPS細胞樹立時に起こりうる異常の同定とその回避方法の開発 ~安全な細胞運命制御技術の開発に向けて~

Stem Cell Reports
Masaki Yagi, Mio Kabata, Tomoyo Ukai, Akito Tanaka, Yui Shimada, Michihiko Sugimoto, Kimi Araki, Keisuke Okita, Knut Woltjen, Konrad Hochedlinger, Takuya Yamamoto*, Yasuhiro Yamada*
De novo DNA methylation at imprinted loci during reprogramming into naïve and primed pluripotency

細胞老化を伴う個体の機能低下が様々な疾患の発症に関与していることが明らかになってきました。細胞初期化により老化細胞の特徴をリセットできることが示され、iPS細胞作製技術は再生医療への応用のみならず、細胞老化の制御にも応用しうることが示唆されています。八木正樹 研究員(ハーバード大学、元東京大学医科学研究所)、山本拓也 准教授(京都大学iPS細胞研究所)、山田泰広 教授(東京大学医科学研究所)らの研究グループは、マウスおよびヒトのiPS細胞樹立過程をDNAメチル化に着目して解析し、体細胞初期化過程において特定のインプリント制御領域にDNAメチル化異常が起こりうることを示しました。さらに、そのDNAメチル化異常を回避する細胞初期化方法を見出しました。また、小児がんにおいて体細胞初期化に関連するDNAメチル化異常がしばしば観察されることを明らかにしました。これまで体細胞初期化過程におけるゲノムインプリンティングの安定性の詳細は明らかになっていませんでしたが、本研究ではiPS細胞におけるゲノムインプリンティング異常の詳細を示すとともに、その異常を回避する細胞初期化技術の開発に応用できる可能性を示しました。さらには小児がんの発生に体細胞初期化に起こりうる異常が関与している可能性を示しました。本研究成果は、安全な細胞運命技術の開発に貢献することが期待されます。