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内視鏡による消化管癌への挑戦

学友会セミナー

開催情報

開催日時 2023年11月9日(木)16:30~17:00
開催場所 ZoomによるWeb開催  https://u-tokyo-ac-jp.zoom.us/j/81835899766?pwd=H7BBJxQpW5SvoPZJzjDEyiFkk1wZe6.1
講師 南出 竜典
所属・職名 静岡県立静岡がんセンター内視鏡科・医長
演題 内視鏡による消化管癌への挑戦
世話人
主たる世話人:長村 文孝(先端医療開発推進分野)
       池松 弘朗(先端消化器内視鏡学分野)
 
       
       
       

概要

消化器内視鏡は、病変の発見から治療に至るまで幅広い役割を担っている。特に、NBIなどの画像強調観察法や、低侵襲かつ根治性の高いESDなどの内視鏡切除法は、臨床研究でのエビデンスに基づき、消化管癌を対象として広く普及してきた。また、内視鏡は正確な検体採取も可能であり、がん不均一性や治療抵抗性の機序解明にも貢献することが期待される。
私はこれまで内視鏡医として消化管癌の研究に様々な角度からアプローチしてきた。例えば、NBIによる大腸腫瘍検出能に関しては、市中病院を中心とした多施設研究を実施した。意外にもNBIは白色光と比較して腺腫発見率に有意な差を認めず、NBIによる病変発見には一定の経験が必要である可能性が考えられた。また、T1大腸癌切除後の再発に対する病変部位の影響に関して、大腸癌研究会参加施設での大規模コホート研究を行った。低リスク病変に対する局所切除群では結腸と直腸での再発率に差はなかった一方、高リスク病変に対する外科切除群では直腸の方が有意に再発率が高かった。低リスクであれば直腸癌であっても内視鏡切除を含む局所切除が妥当であるが、高リスクであれば画像検査を含めた慎重なサーベイランスが必要と考えられた。さらに、胃癌における不均一性に関して酸素飽和度イメージング内視鏡による検体解析を行った。蛋白・遺伝子発現を検討した結果、生体内でリアルタイムに診断した低酸素腫瘍と高酸素腫瘍において生物学的な差異が存在することを明らかとした。
今回、私が取り組んできた内視鏡を用いた消化管癌に関する研究をご紹介させて頂く。