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東京大学名誉教授 榊佳之先生の文化功労者顕彰が発表されました

 榊佳之名誉教授は、医科学研究所では永年に渡り研究・教育に従事され、附属分子病態研究施設教授、附属ヒトゲノム解析センター教授(センター長兼任)を歴任後、平成16年度3月末に定年退職されました。その後、理化学研究所ゲノム科学総合研究センター長を経て、現在は豊橋技術科学大学学長をされております。
 榊名誉教授は、日本とスウェーデン、ポルトガルに多いとされる、家族性アミロイドポリニューロパチー(FAP)の遺伝子診断法の確立、ヒトの概日リズム(サーカディアンリズム、いわゆる時計遺伝子)の発見とその分子メカニズムに関する研究、ヒトゲノム内の転移因子の発見などの成果を上げられました。また、2002年より2005年まで、ヒトゲノム研究の国際組織HUGO(Human Genome Organization)の会長を務められました。
 榊名誉教授の数あるご功績のなかでも、最も多くの方々に知られているのは、1995年から98年まで、国際ヒトゲノム計画の日本代表として研究チームを率いられ、21番染色体の全解読を担当されたことです。ヒトゲノム全解読に貢献するため、1991年に、日本の大学初の解析拠点として、医科学研究所内にヒトゲノム解析センターが設立されましたが、榊名誉教授は、様々な困難を乗り越え、ヒトゲノム解析センターの運営を軌道に乗せる重要な役割を果たされました。今日、ヒトゲノム解析センターが、日本随一のメディカルインフォマティクスの拠点としてゲノム医科学に貢献できるのも、榊名誉教授のご功績によるものであり、所員一同、感謝の念に堪えません。
 榊名誉教授は、教育功労賞シュヴァリエ(仏政府)(2001年)、日本人類遺伝学会賞(2001年)、中日文化賞(2003年)、紫綬褒賞(2003年)などを受賞されています。主な著書に「ヒトゲノム-解読から応用へ-」(岩波新書)、「ゲノムサイエンス」(講談社ブルーバックス)などがあります。