平成22年度東京大学医科学研究所共同研究募集要項
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平成22年度東京大学医科学研究所共同研究募集要項

 東京大学医科学研究所(以下「医科研」という。)の有する多彩な研究実績、豊富な人的資源、高度な研究基盤を学内及び広く国内外の研究者に対して開放するために、以下のとおり、ゲノム・再生医療開発共同研究領域、疾患システム共同研究領域、感染症・免疫共同研究領域の三つのコアとなる研究領域を設け、各領域に関連する共同研究課題を公募します。医科研内のシーズに医科研外のシーズを組み合わせることで、新たな研究の展開に結びつくことを期待するものです。

(1) ゲノム・再生医療開発共同研究領域
 ゲノム・再生医療などの先端的医科学分野の共同研究の実施を通じて、個別化医療、すなわち人間の個体差を考慮した、「オーダーメイド医療」、「予防医療」、「再生医療」を確立し、より負担の少ない効率的医療を実現する。
 ヒトゲノム解析研究については、ゲノム解析による個々人の薬剤感受性予測を通じたオーダーメイド医療やゲノム解析による個々人の疾患発症予測を通じた予防医療など、疾病の診断、予防、治療法の開発を目標とする。
 再生医療研究については、「幹細胞」に焦点をあて、未分化性維持や多能性の機構など、幹細胞に共通な機構の解明とその制御を目指す。その知見を基盤にしてiPS・幹細胞技術を臨床医学に応用し、自己細胞を用いた再生医療、遺伝子細胞治療につなげることを目標とする。
 また、附属病院で実践される血液腫瘍・がん、感染症や免疫疾患の治療及び病態における問題点を解明し、さらに次世代の治療法に結実させる、ベッドとベンチを双方向に結んだクリニカルサイエンスの実践も目標とする。

【研究課題】
  1. 次世代シークエンサーデータの処理・解析
    ・新しく開発されたシークエンサーによって生み出されたシークエンス情報の処理や解析法の共同研究(国際がんゲノム関連など)
  2. スーパーコンピュータを利用したデータ解析やシミュレーションなどのバイオインフォマティクス研究
  3. 癌ペプチドワクチンを利用した臨床研究
    ・新規がんペプチドワクチンを利用した臨床研究(外部の医師が医科研病院を利用して臨床研究することも可)
  4. Pharmacogenomicsに基づくオーダーメイド医療の臨床研究(ワルファリン、タモキシフェン、種々の抗がん剤)
    ・上記の薬剤にかかわらず、ゲノム情報に基づく薬剤の使い分けに関する研究を支援するだけでなく、臨床の現場の応用することも含め、共同研究を幅広く受け入れる。
  5. iPS細胞の樹立及び培養維持法、分化誘導法等の開発
    ・再生医療のみならず、病態解明、創薬スクリーニング、毒性試験等、幅広い用途を持つiPS細胞の樹立や培養維持法、分化誘導法等に関する技術開発に協力する。
  6. 患者由来ヒトiPS細胞の樹立
    ・iPS細胞は無限に培養可能であることに加えて種々の細胞に分化する能力を持っていることから病態解明のツールとして極めて重要な材料である。貴重な症例患者からiPS細胞を樹立するにあたって協力する。
  7. ヒトES細胞・ヒトiPS細胞をソースとする細胞療法の開発と産業化
    ・患者から樹立したiPS細胞は再生医療や遺伝病等を対象とした新しい遺伝子細胞治療の材料として重要である。iPS細胞を用いた新しい細胞療法の開発に協力する。
  8. 遺伝子治療用ベクターの開発と作製
    ・種々の疾患に対する遺伝子治療臨床研究実施に必要となる各種臨床用ベクターの開発と作製に協力する。
  9. 細胞療法の臨床応用に必要な培養法開発
    ・各種細胞療法の臨床研究実施にあたって必須となるcGMPに準拠した細胞大量培養技術を開発し、それをもとにした標準作業工程の確立を通して臨床開発に協力する。
  10. 次世代癌免疫療法の開発
    ・腫瘍免疫反応の解析・研究とその情報をもとにした次世代癌免疫療法の研究開発に協力する。また免疫療法実施の際に必要となる免疫機能解析法の開発にも協力する。
  11. ヒト化CD26抗体の臨床研究
    ・悪性中皮腫及びその他CD26陽性腫瘍(肺腺がん、肝がんなど)
    ・GVHD、クローン病、SLEなどの難治性免疫疾患
  12. TNF-α、IL-17特異阻害剤の開発
    ・マイクロライド骨格を持ち抗生物質としての作用のないTNF-α、IL-17選択的阻害薬の化合物を同定したが、これをリードする関節リウマチ治療薬開発
  13. JAK、STATのスクリーニング系を用いたIL-6阻害剤の開発
    ・すでに同定した2種の化合物をリードする薬剤開発
    ・その他ユニークな化合物ライブラリーを用いて本スクリーニング系を用いて新たな阻害薬の開発
  14. ゲノム情報に基づいた大腸がん診断アルゴリズムを利用した臨床研究
    ・新規遺伝性大腸がん診断アルゴリズムと遺伝子解析を用いて、大腸癌発症リスクを評価して、サーベイランス及び早期診断法を開発・評価する研究
  15. 造血幹細胞、間葉系幹細胞などの体性幹細胞を用いた新たな細胞療法の開発に協力する。

(2) 疾患システム共同研究領域
 疾患システム共同研究領域では、システム疾患モデル研究センター及び癌・細胞増殖研究部門にまたがる共同研究課題の募集を行う。
 システム疾患モデル研究センターにおいては、生体を一つのシステムと考え、疾病を生体システムの異常として捉えることにより、新たな治療法・治療薬の開発を目指している。生体システムは多くの遺伝子の働きによって恒常性が保たれており、多くの疾病には遺伝子の機能異常が関与することが知られている。従って、新たな治療法の開発のためには、疾病に関連する遺伝子の機能とそれらの相互関係を個体レベルで知ることが重要である。本共同研究計画では癌や、自己免疫、感染症などの疾病について、発症過程で重要な役割を果たしていると考えられる遺伝子の遺伝子欠損マウスを系統的に作製し、これらの遺伝子の機能と相互関係を明らかにして発症病理を解明すると共に、新たな治療法・治療薬の開発を行うことを目的とする。
 一方、細胞の癌化・悪性化には、複数の癌遺伝子、癌抑制遺伝子の構造異常、発現異常が関わっており、癌・細胞増殖部門では、これら癌関連分子の遺伝子、蛋白質、細胞、モデル動物、人体病理組織レベルでの機能解析を通じて、発癌と進展の分子機構の解明と、癌の新たな診断法、治療法に結びつく分子標的の同定を目指している。特に、細胞分裂時の染色体分配や、細胞の増殖、分化に関わる細胞内シグナル伝達、転写制御の分子機構を解明し、癌におけるその破綻の意義を明らかにする研究や、生理的な細胞間接着と細胞・間質相互作用、並びにその破綻としての癌細胞の浸潤、転移の分子機構を明らかにする研究を進める。
 そこで、以下のような課題について、全国の基礎研究施設、臨床研究施設と共同研究を行うことにより、研究の深化、拡大と成果の応用、発展を図る。

【研究課題】
  1. 自己免疫関連遺伝子の解析
  2. 骨代謝関連遺伝子の解析
  3. 腸管免疫関連遺伝子の解析
  4. 血管・リンパ管の分化発生機構
  5. ES細胞の自己複製能の研究
  6. 染色体分配異常と癌
  7. チロシンリン酸化シグナルの異常と癌・難治性疾患
  8. 転写制御異常と癌の悪性化、並びに癌幹細胞の成立維持
  9. 膜型マトリックスメタロプロテアーゼと癌
  10. 細胞接着分子の異常と癌

(3) 感染症・免疫共同研究領域
 わが国では、新型インフルエンザウイルス、HIV、コレラ、結核などの新興・再興感染症、多剤耐性病原体、院内感染症などの問題がより深刻化し、感染症に対する社会の関心・認識が急速に高まってきている。人的交流のグローバル化、地球の温暖化、高齢化など、さまざまな要因により、感染症は今後ますます深刻化することが懸念される。さらに生活習慣・環境の急激な変化は、感染症に関連し、宿主応答の異常に起因するアレルギー疾患や自己免疫疾患の急激な増加を引き起こしており、これらの疾患も今後もさらに増加することが懸念される。
 このような背景をふまえて、感染症・免疫共同研究領域では、感染症及び宿主における免疫応答についての基礎的な研究を進めると同時に、そこで得られた知見に基づいた新たなワクチンや治療法の開発を目指している。
 これを踏まえ、以下の課題について、領域で進行中の研究のさらなる進展に結びつく共同研究、領域に新たな解析技術を導入しうる共同研究、及びこれらの研究システムを新たな病原体や領域に応用する共同研究を公募する。

【研究課題】
  1. 赤痢菌、病原性大腸菌、ピロリ菌、インフルエンザウイルス、エボラウイルス、パラミクソウイルス、HIV、ヘルペスウイルス等やその他の新興・再興感染症を対象とする、病原体側の因子と宿主側の因子との相互作用についての、分子、細胞、個体レベルでの解析
  2. 宿主応答に関し、獲得免疫系の研究、病原体センサーなどの自然免疫系の研究及び消化管・気道における粘膜免疫の研究
  3. リバースジェネティックスや粘膜ワクチンなどの技術開発
  4. 奄美病害動物研究施設・霊長類動物実験室の利用を必要とする研究




1.公募関係
  A 募集研究課題
  上記、「ゲノム・再生医療開発共同研究領域」「疾患システム共同研究領域」「感染症・免疫共同研究領域」の3つのコア共同研究領域に関連する研究課題であって、医科研と当該申請研究者が協力することにより新たな進展が期待されるもの。
  B 共同研究に対する医科研からの支援体制
  共同研究において医科研の施設・設備等を利用することが可能です。なお、施設・設備等の利用にあたっては、医科研側の受入教員と協議願います。

2.申請資格者
国公私立大学並びに公的研究機関に所属する教員・研究者

3.研究期間
共同研究の期間については、それぞれの課題によって異なることも予想され、基本的には学外の学識経験者を含む東京大学医科学研究所共同研究拠点運営協議会(以下「運営協議会」という。)の毎年の協議によりますが、1〜3年程度にわたることを想定しています。なお、当初予定の研究期間満了時において、延長申請があればこれを受け付け、運営協議会において、各研究代表者からのそれまでの年次報告に基づく審査のうえ、延長を認めることもあります。また、事業内容に関しては、各研究代表者からの1年毎の年次報告に基づき運営協議会において見直しを図ることがあります。

4.申請方法(様式1、別紙1)
共同研究を希望される方は、医科研側の受入教員と事前に打合せを行ったうえ、以下により申請して下さい。
医科研の各研究分野・所属教員・研究の概要等は、医科研ホームページをご覧下さい。
ホームページ  http://www.ims.u-tokyo.ac.jp/imsut/jp/
申請書等の各書式は、医科研のホームページからダウンロードしてご使用下さい。
申請の際には、次の書類を提出願います。
・平成22年度東京大学医科学研究所共同研究申請書(様式1)  PDF形式  MS WORD形式
・国内旅費(別紙1)  PDF形式  MS EXCEL形式
・所属機関長の承諾書
・医科研受入教員の承諾書

5.申請書提出期限
平成21年11月27日(金)必着

6.申請書提出先
東京大学医科学研究所 研究助成係
〒108-8639 東京都港区白金台4-6-1
Tel:03-5449-5751    Fax:03-5449-5402
E-mail: ken-jo@adm.ims.u-tokyo.ac.jp

7.採否
共同研究の採否は、運営協議会において審査後、概ね1月中旬頃までに、申請者へ直接通知します。
なお、採択された場合、研究代表者及び分担者の方々には、「東京大学医科学研究所拠点研究員」として委嘱いたします。

8.所要経費
共同研究に必要な研究経費(消耗品費及び旅費など)は、100万円を上限として医科研で負担します。

9.共同研究報告書の提出
研究代表者は、毎年度の研究成果を年次報告書にまとめ、毎年度終了後速やかに「6.申請書提出先」へ提出していただきます。 また、最終年度終了時においては、計画期間全体の研究成果を研究完了報告書にまとめ、最終年度終了から2ヶ月以内に「6.申請書提出先」へ提出することとなります。
報告書の著作権は公衆送信権を含めて医科研に帰属いたしますので、ご了承下さい。
なお、報告書の記載方法などについては、後日連絡します。 また、当該研究活動に関するアンケートも実施する予定となっていますので、ご協力をお願いいたします。

10.論文の提出
本共同研究の成果を論文として発表される等の場合には、別刷り1部を「6.申請書提出先」へ提出していただきます。

11.知的財産権の取扱い
原則として、申請者の所属する機関に帰属することとなります。ただし、医科研研究者の知的貢献が認められる場合における当該発明等の取扱いについては、医科研と別途協議することとなります。