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遺伝子発現から見たマウスES細胞未分化能の維持機構

学友会セミナー

学友会セミナー

2005年開催 学友会セミナー

開催日時: 平成17年9月2日(金) 13:30~14:30
開催場所: 1号館2階会議室
講  師: 的場 亮
所  属: National Institute on Aging/NIH
演  題: 遺伝子発現から見たマウスES細胞未分化能の維持機構
概  要:

転写因子Oct3/4 (POU domain, class5, transcription factor 1; Pou5f1) はマウスES細胞の未分化能維持に重要な働きをしていることが知られている。つまり未分化ES細胞ではOct3/4の発現量が厳密にコントロールされており、もしその発現が通常量の1.5倍、或は0.5倍に変化するとES細胞は分化を開始する。我々はES細胞未分化能維持機構を明らかにするために、 Oct3/4発現量の増加・減少に伴って遺伝子発現がどう変化するかをオリゴマイクロアレイを用いて解析を行った。その結果、Oct3/4発現量増加に伴って発現量が増加する遺伝子群はOct3/4発現量減少に伴って増加傾向を示し、 Oct3/4発現量増加に伴って発現量が減少する遺伝子群はOct3/4発現量減少に伴って減少傾向を示した。また主成分分析(PCA)の結果、Oct3/4発現量減少は栄養外胚葉への分化を誘導することが確認された。次にPCAの情報を元に、Oct3/4下流遺伝子の探索を行った結果、癌原遺伝子Tcl1(T-cell lymphoma breakpoint 1) を同定した。 Tcl1タンパクは細胞内でAkt1(thymoma viral proto-oncogene 1)タンパク を活性化し、細胞周期・細胞増殖など重要な働きをしていると考えれられる。今回のセミナーではマイクロアレイのデータを中心にOct3/4が制御している ES細胞未分化能維持機構について議論したい。

世 話 人: ○細胞機能研究分野 岩倉 洋一郎
ゲノム制御医科学 菅野 純夫