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自己免疫疾患の病態に関わる胸腺内転写調節因子の働き

学友会セミナー

学友会セミナー

2005年開催 学友会セミナー

開催日時: 平成17年6月7日(火) 16:00~18:00
開催場所: アムジェンホール大会議室
講  師: 松本 満 教授
所  属: 徳島大学分子酵素学研究センター・情報細胞学部門
演  題: 自己免疫疾患の病態に関わる胸腺内転写調節因子の働き
概  要:

自己寛容(self-tolerance)の成立には、胸腺内で分化・成熟するT細胞と、胸腺上皮細胞(thymic epithelial cell)との間の相互依存的な協調作用が必須の役割をはたす。すなわち、T細胞抗原受容体(TCR)を介するシグナルは、主として胸腺上皮細胞が発現するTCR ligandとの親和性の違いからT細胞を正の選択、あるいは負の選択へと振り分ける。しかしながら、胸腺上皮細胞からどのような性状のTCR ligand、あるいは副刺激が供給され、選択の振り分けに作用しているかについては不明な点が多い。また、自己反応性T細胞の機能を抑制する制御性T細胞は胸腺上皮細胞に発現される自己抗原によって選択されると考えられているが、どのようなメカニズムによって負の選択との振り分けが行われるかも明らかではない。このように、自己寛容の成立・維持におけるT細胞と胸腺上皮細胞との相互作用のメカニズムを研究することは、胸腺での自己寛容成立機構を明らかにする上で重要な課題である。私達は、NF-κB-inducing kinase(NIK)および遺伝性自己免疫疾患(APECED)の原因遺伝子AIREが胸腺上皮細胞で発現することに着目し、これらの遺伝子の変異マウスを用いて自己免疫病態の発症機構を研究している。その結果、NIKとAIREは胸腺上皮細胞中で異なった作用により、ともに自己寛容の成立機構に必須の役割を持つことが明らかになった。

世 話 人: ○感染遺伝学分野 三宅健介
免疫調節分野 高津聖志