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骨髄間質細胞からの神経並びに骨格筋への選択的誘導法開発:変性疾患における自己再生システム系の確立を目指して

学友会セミナー

学友会セミナー

2005年開催 学友会セミナー

開催日時: 平成17年1月21日(金) 16:00 ~ 17:00
開催場所: 合同ラボ棟 2階会議室
講  師: 出澤 真理
所  属: 京都大学大学院医学研究科・機能微細形態学
演  題: 骨髄間質細胞からの神経並びに骨格筋への選択的誘導法開発:変性疾患における自己再生システム系の確立を目指して
概  要:

骨髄間質細胞は造血性幹細胞とは異なり骨髄の中に存在する間葉系細胞であるが、倫理問題無く容易に採取可能であり、培養下にて旺盛に増殖する。患者本人の細胞を用いれば免疫拒絶の無い自家移植系,即ち「自己再生システム」の確立が可能であるが、骨髄バンクも利用可能であるなどの多くの利点を持つ。従って骨髄間質細胞を目的とする特定の細胞に分化誘導する開発研究は倫理問題の無い効率的な再生医療の実現につながる。本研究では発生分化を制御するNotch遺伝子導入と特定のサイトカイン刺激を組み合わせることによってヒト及びラット骨髄間質細胞から90%以上の高い効率にて神経細胞及び骨格筋細胞を選択的に誘導する方法を開発した。いずれも偶発的な脱分化に頼るものではなく、一定の推論に基づいて分化に関わる因子を順序だてて操作する方法であり、機能的にも神経細胞及び骨格筋細胞としての裏付けのある細胞を誘導することが可能である。また神経および筋肉変性モデルに移植し、生体への生着と組織再構築を認めた。骨髄間質細胞は通常、骨髄の中で造血系細胞を支えるという特定の機能を持った細胞であるが、本研究が示すように神経細胞、骨格筋など目的とする特定の細胞への分化から、幅広い分化転換能力を有する細胞であることが判る。この細胞の有する再生医療における可能性について論ずる。

世 話 人: 幹細胞治療動物モデル分野  中内 啓光
○染色体制御分野 渡邊 すみ子