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動物細胞と酵母の細胞質分裂

学友会セミナー

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2004年開催 学友会セミナー

開催日時: 平成16年12月14日(火) 15:00 ~ 16:00
開催場所: 1号館講堂
講  師: 馬渕 一誠
所  属: 東京大学教養学部(大学院総合文化研究科広域科学専攻)
演  題: 動物細胞と酵母の細胞質分裂
概  要: 細胞はどのように分裂するか:収縮環形成のメカニズム

細胞の分裂は生物が増殖、成長、あるいは発生分化するために必須の生命活動である。細胞分裂は核分裂と細胞質分裂の2つの段階で行われる。いずれも細胞骨格タンパク質が主役として行われるが、核分裂は微小管系が担い、細胞質分裂はアクチン繊維系が担う。これらの過程は細胞分裂周期の中で正しい時期に正しい順序で行われる必要があり、そのために細胞内の情報伝達系による整然とした制御のもとにあると想像される。また細胞質分裂は細胞内の正しい部位で行われなければならず、空間的な制御も重要なファクターである。

動物細胞や酵母の細胞質分裂は分裂面の細胞表層のくびれによって進行する。このくびれ部分(分裂溝)には多数のアクチン繊維を主成分とする収縮環(contractile ring) が見い出されている。収縮環はアクチンとミオシンの相互作用によって収縮し、細胞を2分する。この構造は細胞が分裂する時にだけ形成される一過性の構造である。収縮環がどのようにして形成され、分裂後にどのようにして消失していくのかという問題は、細胞質分裂の分子機構のなかでも主要な未解決の問題である。

本セミナーでは1)細胞質分裂がアクチンとミオシンの働きで起こされていること、2)収縮環の構造、3)アクチンとミオシンはどのようにして収縮環をつくるのか、4)収縮環形成のシグナル伝達機構、などについて動物細胞と分裂酵母で得られた知見をもとに議論したい。

世 話 人: 癌細胞シグナル分野(所長) 山本 雅、
○細胞プロセッシング寄付研究部門 高橋 恒夫