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ゲノムの分解と修復を支配する組換え酵素の一分子解析

学友会セミナー

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2004年開催 学友会セミナー

開催日時: 平成16年11月1日(月)  16:00 ~ 17:30
開催場所: アムジェンホール 大会議室
講  師: 半田 直史 博士
所  属: メディカルゲノム専攻・バイオ医療知財分野・小林研究室・特任助手
演  題: ゲノムの分解と修復を支配する組換え酵素の一分子解析
概  要:

近年のDNA複製、修復、相同組換え、突然変異の分子生物学的解析結果は、「ゲノムがDNA二重鎖切断による死と修復による再生をたえず繰り返している」という、きわめてダイナミックなゲノム維持の像に収斂しつつある。損傷などのゲノムの異常に出会うと複製フォークが停止し、ゲノムの死と再生の決断が行われる。自然突然変異が蓄積しガン化などの逸脱へ至るおそれのあるゲノムは、DNAの二重鎖切断により自殺し、無傷な同胞細胞が生き残る。一方、なんらかの条件を満たした細胞は、切断を修復し生き返る。この時突然変異が起きることがある。

最も解析の進んでいる大腸菌では、DNA二重鎖切断から、RecBCD酵素と呼ばれるヘリケースが多量のATPを消費してDNAを巻き戻しながら分解して数十キロも進んでいく。ところが、カイ配列という自己ゲノムの標識(ID)配列に出会うと、この酵素は分解を停止し、一本鎖DNA をRecAタンパク質に引き渡し、相同組み換えによる複製フォークの再構成を進める。

半田博士は、この過程を一分子レベルで可視化する実験系を、カリフォルニア大学のKowalczykowski研究室で構築し、数々の新発見を行った。10月より、メディカルゲノム専攻小林研究室の特任助手に着任した。

世 話 人: 腫瘍細胞社会学分野  清木 元治
メディカルゲノム専攻 小林 一三