生殖細胞のゲノムの半減化機構
学友会セミナー
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2003年開催 学友会セミナー
開催日時: | 平成15年9月30日(火) 16:00~17:00 |
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開催場所: | 白金ホール会議室 |
講 師: | 渡辺嘉典 先生 |
所 属: | 東京大学大学院理学系研究科生物化学専攻 助教授、 科学技術振興事業団 SORST |
演 題: | 生殖細胞のゲノムの半減化機構 |
概 要: | 生命の誕生に近い時代の生き物は、単純に自己複製を繰り返すことによって増殖していたと考えられる。原核生物がその名残であり、ほとんど進化することなく地球上に存在し続けてきた。一方、真核生物は、その出現に伴い、二つの個体の遺伝情報を混合させる有性生殖機構およびそれに伴う減数分裂機構を比較的早くに獲得し、それによって爆発的な進化を成し遂げ、多種多様な生命を地球上に生み出してきた。有性生殖機構の中核にあるゲノムを半減化させる減数分裂の分子機構は、まだよく解明されていない。増殖細胞にみられる体細胞分裂周期では、複製により作られた姉妹染色分体がスピンドルの両極に分けられる(均等分裂)のに対して、生殖細胞の減数第一分裂では、2本の姉妹染色分体は分かれることなくスピンドルの同一極へ動き、父方と母方に由来する相同染色体が反対極に分けられる(還元分裂)。我々は、この減数分裂特有の染色体分配を実現するために生殖細胞特異的な染色体接着因子コヒーシンRec8が中心的な役割を果たしていることを、分裂酵母を用いて明らかにしてきた。最近では、Rec8と協調して還元分裂の確立に働く新たな因子も発見している。これらの因子の多くは、酵母からヒトに至るまで真核生物一般に広く保存されており、本研究成果は生殖医療および育種などへの応用が可能である。 <最近の文献> Kitajima, S. T., Yokobayashi, S., Yamamoto, M., and Watanabe, Y. : Distinctcohesin complexes organize meiotic chromosome domains. Science, 300,1152-1155 (2003) |
世 話 人: | ○山本 雅、甲斐知恵子 |