ヒト疾患研究におけるマウスの利用:突然変異マウスを用いた遺伝学
学友会セミナー
2002年開催 学友会セミナー
開催日時: | 2002年9月3日(火)11:00 ~ 12:30 |
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開催場所: | 東京大学医科学研究所 アムジェンホール大会議室 |
講 師: | 米川博通博士 |
所 属: | 東京都臨床医学総合研究所副所長 同研究所 実験動物研究部門部長 |
演 題: | ヒト疾患研究におけるマウスの利用:突然変異マウスを用いた遺伝学 |
概 要: | ゲノムプロジェクトの成果は、ヒトやマウスのDNAシークエンスドラフトの公表という形で基礎的な段階を過ぎ、今後はそのドラフトを基礎とした遺伝子の機能解明という、より重要な段階へ移行してきている。また、ゲノムプロジェクトの結果から、ヒト、マウスとも約3万種類の遺伝子をそれらのゲノム中に有し、しかもその遺伝子の大部分はヒト・マウス間で共通であることが分かってきた。この様な観点から、ヒトの遺伝子機能を解明するためのカウンターパートとしてマウスの重要性は広く容認されることになった。 さらに、マウスにおいては、遺伝的背景を異にした400系統以上の近交系と、またその近交系を基礎にした第2世代の近交系と呼ぶべき、コンジェニック系統、コンソミック系統、さらにはリコンビナント近交系といった系統も次々と樹立され、研究に広く利用されている。これらは、マウス遺伝学上での重要なバイオリソースとして位置づけられてきている。さらにマウスでは、遺伝子改変マウス作製技術の樹立と共に、ヒトでは不可能な個体レベルでの遺伝子機能を直接的に解明するということが可能になっている。 臨床研実験動物研究部門では、この様なマウスの利点をヒト疾患研究に利用すべく、遺伝学的研究体制の確立と、そのための基盤技術の開発を行ってきた。米川博士らが開発した基盤技術として、遺伝子改変動物の作製、胚・配偶子の凍結保存、およびマウス遺伝学のためのバイオリソースとして、コンソミック系統の樹立、遺伝子マーカであるSSLP、およびSNPの開発等を行ってきた。 今回はそれらの基盤技術をもとに行われた研究のうち、ヒト単因子疾患のモデルとして難聴マウスからの遺伝子のクローニング、多因子疾患としてアトピー性皮膚炎モデルマウスでの遺伝解析についてお話をして頂く予定である。 |
世 話 人: | 甲斐 知恵子、吉田 進昭、新井 賢一 |