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ゼブラフィッシュ突然変異体を用いた内胚葉形成機構の解析

学友会セミナー

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2002年開催 学友会セミナー

開催日時: 2002年7月18日(木)11:00 ~ 12:00
開催場所: 東京大学医科学研究所 アムジェンホール大会議室
講  師: 菊池 裕 
所  属: 名古屋大学大学院理学研究科生命理学専攻 助教授
演  題: ゼブラフィッシュ突然変異体を用いた内胚葉形成機構の解析
概  要:

発生初期での三胚葉(外胚葉・中胚葉・内胚葉)の形成機構は、外胚葉・中胚葉の解析を中心に進められてきたが、内胚葉の形成については解析が遅れていた。その理由としては、内胚葉特異的なマーカー遺伝子や変異体がほとんど報告されていなかったためである。また、一部の中胚葉細胞と内胚葉細胞は同じ領域から形成するが、その分離機構についてもほとんど解析が為されていない。私は、初期発生における分子生物学的解析が容易で、遺伝学的解析が可能なゼブラフィッシュを用いて、内胚葉の形成機構、中胚葉・内胚葉の分離機構の解析を行った。心臓の変異体として単離された3種のゼブラフィッシュ突然変異体(bonnie and clyde, faust, casanova)は、詳細な解析により内胚葉の形成に異常を持つことが判明した。私達は、候補遺伝子クローニング法により原因遺伝子のクローニングを行った結果、bonnie and clydeはpaired型ホメオドメイン遺伝子・faustはgata5転写制御遺伝子・casanovaはsoxファミリー転写制御遺伝子であることを明らかにした。更に他の突然変異体を用いた遺伝学的解析から、これらの遺伝子はNodalシグナルの下流で働き、他の転写制御因子と共に或いはお互いに協調しながら内胚葉の形成を誘導していることを示した。

本セミナーにおいては、ゼブラフィッシュ突然変異体の解析により明らかになった内胚葉形成機構について紹介する予定である。

世 話 人: 渡辺すみ子
西中村隆一