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ホヤ遺伝子発現調節領域のin silico - in vivo解析: ゲノムワイドなシス調節システムの解明をめざして

学友会セミナー

学友会セミナー

2005年開催 学友会セミナー

開催日時: 平成17年1月25日(火) 16:00 ~ 17:00
開催場所: 総合研究棟8Fセミナー室
講  師: 日下部 岳広
所  属: 兵庫県立大学・大学院生命理学研究科
演  題: ホヤ遺伝子発現調節領域のin silico - in vivo解析:
ゲノムワイドなシス調節システムの解明をめざして
概  要:

脊椎動物にもっとも近縁な無脊椎動物であるホヤの幼生は、2600ほどの細胞からなる単純な生物であるが、脊椎動物と共通のボディプランをもっている。カタユウレイボヤのドラフトゲノム配列が決定され、脊椎動物の発生や生理に関わる基本的な遺伝子セットがホヤゲノムに存在することが明らかになってきた。受精卵を起点とする細胞系譜が明らかにされていることや、個体レベルでのシス調節配列や転写調節因子の機能解析が容易であることなど、ホヤ幼生は発生過程における遺伝子発現制御機構を解析する上ですぐれた特徴を備えている。ホヤのゲノムサイズは約160Mbと小さく、組織特異的転写に必要十分なシス調節配列が遺伝子上流の短い領域に含まれることが多い。また、カタユウレイボヤと近縁種ユウレイボヤの比較ゲノム解析により、機能的に重要な非コード領域を予測することが可能である。このような特徴を備えたホヤ幼生をモデルとして、遺伝子発現調節領域の構造と機能の体系的な解析を行っている。網羅的in situハイブリダイゼーションなどにより、多数の遺伝子の時空間的発現プロファイルを明らかにし、in silico解析により発現パターンに共通性のみられる遺伝子の上流領域に共通に存在するモチーフをみいだした。いくつかのモチーフは遺伝子の5'端から一定の距離に存在する傾向がみられる。 in silicoでみいだされたモチーフが、実際に細胞特異的な発現制御に関わるシス調節配列であることを in vivo実験により証明した。現在の課題の一つは、各細胞で特異的に発現する遺伝子の発現調節領域の構造モデルに基づいてゲノムワイドな遺伝子の発現パターン予測および新規遺伝子の発見を行うことである。

世 話 人: DNA情報解析分野 宮野  悟
○機能解析イン・シリコ分野 中井 謙太