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ガングリオシドGM3欠損マウスにおけるインシュリン高感受性とその基質でクトシルセラミドによる神経変性

学友会セミナー

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2004年開催 学友会セミナー

開催日時: 平成16年3月17日(水) 14:00~15:00
開催場所: 1号館会議室(2F)
講  師: 山下 匡
所  属: 米国国立衛生研究所 客員研究員 
演  題: ガングリオシドGM3欠損マウスにおけるインシュリン高感受性とその基質でクトシルセラミドによる神経変性
概  要:

ガングリオシドは、その分子内にシアル酸を含むスフィンゴ糖脂質であり、数多の細胞膜に存在し、細菌やウイルスの膜表面上の結合部位を提供したり、細胞の相互認識やシグナル伝達に関与していると考えられている。ガングリオシドの構成成分は、セラミド、グルコース、ガラクトース、N-アセチルガラクトサミン、およびシアル酸であり、セラミドを除くこれら糖鎖を基質特異的に順次付加する酵素を総称して糖転移酵素群と呼ぶ。今回は、これらの糖転移酵素群の一部を欠損させたマウスについて報告する。

ガングリオシドGM3合成酵素ノックアウトマウスは、GM3合成酵素遺伝子を欠損させることで得られた。このマウスは、外見上の異常は認められない。しかしながら、詳細な観察からインシュリンに対する高感受性、およびそれに起因したインシュリンレセプターのリン酸化亢進が観察された。

さらにGM3合成酵素ノックアウトマウスを用い、高カロリー食を与える事により、2型糖尿病のモデルマウスを作成した。ノックアウトマウスでは、正常マウスに比べ、インシュリンに対し反応性を示し、症状の改善が観察された。さらに、GM3合成酵素とGalNAc転移酵素の両遺伝子を欠損させ、ラクトシルセラミドのみを持つマウスを作成した。このマウスは、生後2週目で神経症状を示し、一か月齢までで半数以上、さらに3か月齢までにほとんどのマウスが死亡する。これらのマウスは、神経細胞死を伴う所見を示した。上記2種類のマウスおよび、ガングリオシドに関する糖転移酵素群ノックアウトマウスに関して、話題を提供したい。

世 話 人: ○高橋 恒夫(75599)、山下 直秀