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DNAM-1(CD226) : 多様な細胞における多彩な役割

学友会セミナー

学友会セミナー

2004年開催 学友会セミナー

開催日時: 4月21日(水)16:00-17:00
開催場所: クレストホール2階会議室
講  師: 渋谷 彰 博士
所  属: 筑波大学大学院人間総合科学研究科、基礎医学系・免疫学 教授
演  題: DNAM-1(CD226) : 多様な細胞における多彩な役割
概  要:

今から8年ほど前に渋谷博士らはヒトのCTLやNK細胞の細胞障害活性を誘導する新しいシグナル伝達分子として DNAM-1(CD226)を同定し報告した(Shibuya A., et al. Immunity, 1996)。 DNAM-1は免疫グロブリンスーパーファミリーに属するI 型の膜蛋白であり、接着分子である。さらに、NK細胞では構成的に、T細胞ではT細胞が抗原を認識し活性化するとDNAM-1 がLFA-1接着分子と会合すること、さらにLFA-1からのシグナルがfynを介してDNAM-1 のチロシンリン酸化を引き起こすことなど、 DNAM-1とLFA-1が機能的にも物理的にも密接に関与していることを見いだした(Shibuya K., et al Immunity, 1999)。

一方、DNAM-1 はCTLやNK細胞のみならず、ヘルパーT 細胞やマクロファージ、樹状細胞などの免疫細胞や血小板や巨核球などの非免疫系の血液細胞など様々な細胞に発現しており、多彩な機能が推察され興味が持たれてきた。渋谷博士らは最近、ナイーブヘルパーT細胞からTh1細胞への分化と増殖を促すLFA-1からの補助シグナルに DNAM-1が必須であることを明らかにした(Shibuya K., et al J Exp Med 2003)。また血小板に発現するDNAM-1は、活性化、凝集、また血管内皮への接着に重要な役割を担っていることを示した (Kojima H, et al. J Biol Chem 2003)。

渋谷博士らは最近、CD226が結合する二つのリガンド分子の同定に成功した (Tahara-Hanaoka, et al. Int Immunol 2004) 。まったく予期しなかったことに、これらはポリオウイルスレセプターとして知られていたCD155とヘルペスウイルスレセプターとして知られていたCD112(nectin-2)ということが明らかになった。またこれらのリガンドが腫瘍細胞で発現が亢進していることも見いだした。本セミナーではCD226の腫瘍免疫における役割についても議論していただく予定である。

世 話 人: 中内啓光 ○渡邊すみ子