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『脳由来神経栄養因子BDNF遺伝子発現制御系と神経可塑性との関わり』

学友会セミナー

学友会セミナー

2006年開催 学友会セミナー

開催日時: 平成18年7月25日(火) 16:00~17:00
開催場所: 1号館2階会議室
講  師: 津田 正明
所  属: 富山大学・医学薬学研究部(薬学系) 分子神経生物学研究室 教授
演  題: 『脳由来神経栄養因子BDNF遺伝子発現制御系と神経可塑性との関わり』
概  要:

脳由来神経栄養因子(Brain-derived neurotrophic factor; BDNF)は、神経細胞の生存・維持や分化ばかりでなく、シナプス機能調節を介して神経可塑性に関与しているが、最近、特に記憶固定化などの長期的なシナプス可塑性に関与していることが明らかになってきた。一方で、転写制御因子CREBを介した遺伝子発現制御系が長期的なシナプス可塑性に関与していることも明らかになっている。最近では、クロマチンが記憶固定化に関わっていることが報告されている。しかし、遺伝子発現制御系が長期的なシナプス可塑性に関わる機構については、全く不明である。本セミナーでは、ラット大脳皮質初代神経細胞培養系を用いて、私たちが最近明らかにしてきた二つのBDNF遺伝子の発現制御系の解析結果を紹介し、BDNF遺伝子発現制御系が神経可塑性に果たす役割を考察する。また最近、母親ラットから仔ラットへの行動様式の継承に、DNAメチル化やクロマチンを介したエピジェネテイクスの関与していることが指摘されており、環境・遺伝子・行動が一つの線で繋がり始めている。さらに、この過程の異常が、一連の行動異常や精神疾患発症に関係していることが指摘されている。このようなエピジェネテイクスの観点からも話題を提供したい。

世 話 人: ○山本 雅、岩本 愛吉