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健康医療ビッグデータ解析に対する統計科学的アプローチ

学友会セミナー

学友会セミナー:2020年01月27日

開催日時: 2020年01月27日 12:30 ~ 13:30
開催場所: 総合研究棟8階 大セミナー室 (入棟の際は、内線75615に連絡のこと)
講師: 片山 琴絵
所属: 東京大学医科学研究所ヒトゲノム解析センター
シークエンスデータ情報処理分野・助教
演題: 健康医療ビッグデータ解析に対する統計科学的アプローチ
概要:

近年、健康医療分野では、レセプト情報やDPC等の医療基本情報やIoTデバイスの発展に伴い時間軸を有する健康関連ビッグデータが蓄積され続けている。一方、ゲノムを中心とする分子生物学的なデータを取得する次世代シークエンサーの技術発展により、全ゲノム情報や全転写産物の発現、エピゲノム、プロテオーム、共生微生物叢など、生命現象を記述する複数のレイヤーにおいて網羅的なデータが計測されるようになった。本発表では、まず、10年間に渡るレセプト情報(のべ人数で約7,000万人のデータが毎年得られる)を解析し、漢方処方の実態を初めて明らかにした研究についてまず紹介する。次に、受診時の自動問診システムの構築と複数の医療施設で収集された問診データから、漢方診断の数理モデルを構築し診療支援のためのシステム化を行った研究について説明する。これら医療関連データの解析に加えて、演者がこれまで取り組んできた次世代シークエンスデータの解析について説明する。特に、希少がんである悪性骨軟部腫瘍115症例を用いて得られた網羅的なゲノム解析において施設間実験プロトコルの差がRNAシークエンス解析に与える影響などの諸問題とその対処法について紹介する。最後に、健康医療のビッグデータとゲノム関連ビッグデータを統合的に解析することにより、新しいゲノム医療の実現に向けたデータサイエンスの可能性について、その展望を述べる。

世話人: 〇宮野 悟 (DNA情報解析分野)
 井元 清哉 (健康医療データサイエンス分野)