English
Top

ロイコトリエン受容体と炎症性疼痛

学友会セミナー

学友会セミナー:2020年01月20日

開催日時: 2020年01月20日 16:00 ~ 17:00
開催場所: 病院棟8階 南会議室
講師: 浅原 美保
所属: さいたま赤十字病院・麻酔科
演題: ロイコトリエン受容体と炎症性疼痛
概要:

炎症性疼痛の病態にプロスタグランジン産生が深く関与していることは知られているが、同時にロイコトリエン(LT)が産生され、炎症・疼痛の増悪に関与していることが明らかになってきた。LTB4は高親和性受容体BLT1を介して強力な好中球活性化作用を発揮する。動物実験レベルではLTB4-BLT1シグナルの阻害が炎症反応を減弱させることが知られており、炎症性疾患治療のターゲットとして注目されている。LTB4-BLT1シグナルの阻害が炎症性疼痛にも有効ではないかと推察し、BLT1遺伝子欠損マウスを用いて、LTB4-BLT1シグナルによる疼痛機構についての研究に着手した。BLT1欠損マウスでは、古典的急性痛モデルであるホルマリンテストにおける疼痛行動の減弱を認めた。またホルマリン投与後の局所炎症変化のみならず脊髄後角における神経活性化の指標リン酸化CREBの発現が抑制されていた。LTB4-BLT1シグナルは、従来から明らかである好中球活性化による炎症惹起のみならず、脊髄レベルでの感作に関与して急性痛の増悪に寄与する可能性が示唆された。
本セミナーでは、LTB4とBLT1受容体についての知見を紹介し、これまでに行った研究内容を報告する。また、より臨床状態に近い術後痛モデルを用いた検討結果についても併せて報告したい。

世話人: 〇東條 有伸 (分子療法分野)
 折井 亮 (附属病院・麻酔科)