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造血幹細胞を生体外で増幅させる試み

学友会セミナー

学友会セミナー:2020年01月14日

開催日時: 2020年01月14日 18:00 ~ 19:00
開催場所: 1号館地下 B1-E会議室
講師: 山崎 聡
所属: 東京大学医科学研究所 幹細胞生物学分野 特任准教授
演題: 造血幹細胞を生体外で増幅させる試み
概要:

造血幹細胞は骨髄中のニッチに存在し、生体内における全血液細胞を供給することが可能な組織幹細胞の1つである。様々な血液疾患や免疫疾患を治癒する技術として造血幹細胞移植が知られているが、より成功率を向上させる為には造血幹細胞を生体外で増殖させる技術開発が重要である。現在までに多くの研究者が造血幹細胞の増幅に関与するタンパク質(造血因子)を分離同定し、未分化性を保つことに重要な骨髄微小環境の造血支持細胞を明確にしてきている。しかし、造血幹細胞を安定的かつ再現性よく増幅させる方法はこれまでに確立されていなかった。そこで、我々は以下の2つの点に注目し努力を積み重ねてきた。1)タンパク質でも細胞でもない基礎的な栄養素の1つである培養液中のアミノ酸バランスに注目し造血幹細胞の未分化性を維持するアミノ酸バランスの探索、2)培養液中に存在する血清アルブミン成分の必要性である。これらの研究結果から我々は最近、“マスウ”造血幹細胞の長期培養増幅技術を確立させ報告した(Wilkinson et al., 2019. Nature)。一方で、“ヒト”造血幹細胞が“マスウ”造血幹細胞と同じように増幅可能かは未知である。本セミナーでは“ヒト”造血幹細胞増幅技術開発の世界的動向と共に我々の試みについても紹介していきたい。

世話人: 〇武川 睦寛 (分子シグナル制御分野)
 谷口 英樹 (再生医学分野)