東京大学医科学研究所

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学友会セミナー

学友会セミナー:2019年4月11日

開催日時: 2019年4月11日 15:30 ~ 16:30
開催場所: 2号館2階 大講義室
講師: 山下 誠
所属: 愛知医科大学 客員教授(元医科研ウイルス感染分野 特任教授)
演題: 薬剤耐性とインフルエンザ
概要:

単剤の抗ウイルス薬として、ウイルスたんぱく質を標的とする薬剤が46種、宿主因子を標的する薬剤が6種、国内で承認されている。抗エイズ薬や抗C型肝炎薬では併用剤として新規化合物8種が承認されている。抗ウイルス薬登場のおかげでエイズはコントロール可能な感染症に、C型肝炎は数ヵ月でウイルスを排除できるまでになった。しかしながら、抗ウイルス薬の不可避の懸念として、特にこれら変異速度の早いRNAウイルスに対しては薬剤耐性化があり、作用機構の異なる薬剤の併用や薬剤濃度の上昇を目的とした薬剤代謝阻害剤との併用が行われている。
抗インフルエンザ薬としては国内では7種が単剤として承認されているが、耐性や安全性の問題から実質的に5剤(ノイラミニダーゼ阻害4剤、RNA合成阻害1剤)が臨床使用されており、現在まで併用薬の承認はない。
薬剤耐性化は薬剤存在下でも増殖できるためのウイルスの巧妙なすり抜け戦略であるが、その戦略に立ち向うためには体内の薬剤濃度を高く保つことがひとつの大きな方法論である。インフルエンザ治療薬を例にとり、体内の薬剤濃度低下が原因の一つと考えられる耐性化の例を紹介するとともに、感染患者体内で耐性ウイルスが発生した場合に単なるウイルス排除の他に何が起きるのかを紹介したい。さらに耐性ウイルスの発生は治療患者一人に留まらず周囲への伝播も大きな課題となるが、耐性ウイルスが広がるためにはその増殖性が野生ウイルスより同等以上となってヒトに定着することも重要で、ウイルスはどのような賢いことをしてきたか過去の事例を紹介する。
最後に宿主因子を標的とすることで耐性化の懸念を低下させることが可能と考えられるが、ウイルス感染分野在職中に取組んだ成果を簡単に紹介する。

世話人: 〇河岡 義裕 (ウイルス感染分野)
 川口 寧 (ウイルス病態制御分野)