東京大学医科学研究所

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学友会セミナー

学友会セミナー:2019年3月18日

開催日時: 2019年3月18日 15:00 ~ 16:00
開催場所: 総合研究棟4階 会議室
講師: 保富 宗城
所属: 和歌山県立医科大学医学部耳鼻咽喉科・頭頸部外科学講座
教授
演題: 鼻咽腔における肺炎球菌保菌機序と母乳栄養による感染予防
概要:

鼻咽腔は、外来からの病原微生物の侵入門戸にあり、絶えず病原性微生物に暴露されるとともに、それらに対する宿主免疫応答がせめぎ合う生体防御の最前線に位置するともに、鼻咽頭関連リンパ装置を中心とした生体防御粘膜免疫機構が存在する。本発表では、鼻咽腔における細菌叢の成立と、母乳栄養に着目した感染予防の可能性について肺炎球菌感染症を中心に述べる。
1.細菌感染機序と細菌叢の成立
 ヒト鼻咽腔には様々な細菌よりなる細菌叢が存在する。耳鼻咽喉科感染症の重要な原因菌である肺炎球菌は、Pneumococcal surface protein A (PspA)あるいはpneumolysin (PLN)を巧妙に使い鼻咽腔に定着すると考える。また、口腔咽頭の粘膜免疫の要となるヒト口蓋扁桃では、歯周病原因菌とされる嫌気性菌群(Red Complex)が扁桃陰窩細菌叢で多く検出される。Red ComplexがSupporterとして、乳酸菌などの常在菌(Competitor)に対し、咽頭・扁桃粘膜上皮内に侵入共生した化膿レンサ球菌(GAS)などのPathogenの増殖を促すと考える(多細菌性仮説)。
2.母体免疫による乳幼児期感染予防
 細菌叢の成立と病原微生物の感染に対して、2歳未満の乳幼児期は免疫学的に未成熟であり、急性中耳炎を好発する。妊娠前のマウスに経粘膜免疫をおこなうこと(母体免疫)により、高い胎盤移行抗体および母乳抗体が誘導されるとともに、母乳栄養により高い抗体価が維持されマウス鼻咽腔における肺炎球菌の定着が抑制される。さらに、母乳栄養マウスでは、免疫学的記憶が維持されることから、母乳を介した免疫再構築が乳幼児期の免疫応答に重要となる。

世話人: 〇藤橋 浩太郎 (臨床ワクチン学分野)
 倉島 洋介 (粘膜免疫学部門)