東京大学医科学研究所

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学友会セミナー

学友会セミナー:2019年1月7日

開催日時: 2019年1月7日 18:00 ~ 19:00
開催場所: 1号館西側地下1階 B-1E会議室
講師: 山本 元久
所属: 札幌医科大学医学部 免疫・リウマチ内科学 講師
演題: IgG4-related disease (IgG4-RD)の疾患概念確立と病態解明・治療法開発に向けて
概要:

IgG4-related disease (IgG4-RD)は、高IgG4血症と腫大した罹患臓器へのIgG4陽性形質細胞浸潤および線維化を呈する全身性、慢性炎症性疾患であり、今世紀にわが国で確立された新しい疾患概念である。従来、本疾患の涙腺・唾液腺病変であるミクリッツ病(MD)はシェーグレン症候群(SS)と同一の病態であるとみなされていた。しかし、私たちの、両疾患の臨床的、血清学的、病理組織学的検討により、MDはSSとは異なり、高IgG4血症、涙腺・唾液腺組織への著明なIgG4陽性形質細胞浸潤を特徴とすることが判明した。さらに、本疾患の患者登録システム(レジストリー)を世界に先駆けて構築して、MDに自己免疫性膵炎の他、腎炎、肺病変などの臓器病変が高頻度に合併することを明らかにし、「MDは多彩な臓器病変を有する全身性疾患(後のIgG4-RD)である」という概念の形成に繋げた。しかし、IgG4-RDの診断基準策定と指定難病認定とともにステロイド療法を含む治療体系も整備されつつある一方で、IgG4-RDの病因や臓器障害の機序は未解明のままである。これまでTh2型炎症の関与が報告されているが、私たちは、最近、レジストリー登録患者の臨床徴候、血清サイトカインを含めた免疫学的因子などのクラスター解析により、本疾患の病態形成にIL-5に加えてI型インターフェロンが重要であり自然免疫系と獲得免疫系の連携が関与することを示した。本セミナーにおいては、IgG4-RDの臨床を疾患概念と治療体系確立に至る私たちの研究成果を含めて解説するとともに、その病態解明と治療法開発に向けた展望を議論したい。

世話人: 〇東條 有伸 (附属病院長)
 田中 廣壽 (附属病院・抗体・ワクチンセンター長)