東京大学医科学研究所

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学友会セミナー

学友会セミナー:2019年1月9日

開催日時: 2019年1月9日 15:00 ~ 16:00
開催場所: 2号館2階大講義室
講師: 吉見 昭秀
所属: Senior Research Scientist, Human Oncology and Pathogenesis Program, Memorial Sloan Kettering Cancer Center, USA
演題: Targeting Spliceosomal Dysfunction in Leukemias
概要:

近年のがんゲノム解析によりSRSF2やSF3B1などのRNA splicing factorをコードする遺伝子における変異が様々ながんに高頻度にみられることが報告され、またそれぞれの変異型splicing factorが主に遺伝子配列特異的にsplicing異常を惹起するメカニズムが明らかになってきたが、これらのsplicing factor遺伝子変異による発がん機構はほとんど解明されておらず、またその発がん機構を標的とする治療法開発の可能性についても十分に検討されていない。そこで我々は、Srsf2P95H/+およびSf3b1K700E/+造血特異的コンディショナルノックインマウスおよびPan-cancer splicing/gene expression解析を用いて、造血細胞におけるこれらの変異型splicing factorを介する造血器腫瘍発症のメカニズムの解明および治療標的化の検討を試みた。
 我々の研究により、(1) SRSF2変異はIDH2変異と協調してsplicing異常を増悪させて骨髄系腫瘍を誘発すること、その下流でIntegrator複合体の機能に異常をきたし、分化障害をきたすこと、両変異を持つ細胞は変異型IDH2特異的阻害剤に抵抗性であるが、spliceosomal inhibitorと組み合わせることにより感受性が著明に改善すること、および (2) SF3B1変異はそのhotspotによって組織・臓器特異的にsplicing異常を引き起こすこと、 SF3B1K700E変異はCLLにおいてPPP2R5A(セリン-スレオニンフォスファターゼ複合体PP2AのRegulatory B subunitの一つ)のsplicing異常を誘導してMYCおよびBCL2を活性化すること、SF3B1K700E変異を有する白血病細胞がPP2A活性化剤であるFTY−720によって選択的に駆逐されること、などが明らかになった。当日は上記の知見について詳説するとともに、時間が許せば我々が新規に樹立したCMML異種移植モデルを用いた新しいspliceosomal inhibitorの薬効評価の取り組みについてもご紹介したい。

世話人: 〇真鍋 俊也 (神経ネットワーク分野)
 岩間 厚志 (幹細胞分子医学分野)