東京大学医科学研究所

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学友会セミナー

学友会セミナー:2018年11月21日

開催日時: 2018年11月21日 16:00 ~ 17:00
開催場所: 1号館2階 2-1会議室
講師: 中山 タラントロバート
所属: 慶応義塾大学医学部・整形外科学教室・講師
演題: 肉腫における発がん性変異SWI/SNF(BAF)複合体の機能解析
概要:

SWI/SNF(BAF)複合体は、約15個のサブユニットから構成されるタンパク複合体であり、ATP依存性にヌクレオソーム構造を変化させ、クロマチンを制御することで、包括的な遺伝子制御に寄与している。構成されるサブユニット遺伝子の生殖細胞系列の変異では、Coffin-Siris症候群などの多発奇形・精神遅滞症候群が知られる一方、体細胞系列の変異では、全がんの約20%にSWI/SNF(BAF)複合体構成サブユニット遺伝子の変異があることが報告されている(Kadoch et al. Nat Gen 213)。SMARCB1(BAF47/INI1)はSWI/SNF複合体の主要なサブユニットであり、その遺伝子の欠損が、悪性ラブドイド腫瘍(MRT、98%)や類上皮肉腫(EpS、90%)を含むいくつかの癌腫で報告されていることから腫瘍抑制遺伝子と考えられている。しかし、それら腫瘍におけるSMARCB1の腫瘍抑制因子としての分子生物学的機能は未だに十分には解明されていない。一方、滑膜肉腫(SS)特異的融合遺伝子SS18-SSXの構成要員として知られるSS18もSWI/SNF(BAF)複合体のサブユニットであることが知られている。さらに、滑膜肉腫特異的融合遺伝子SS18-SSXはSWI/SNF(BAF)複合体に結合し、それに伴い、本来SWI/SNF(BAF)複合体に結合すべき SMARCB1(BAF47/INI1)がSWI/SNF(BAF)複合体から外れ、 ユビキチン・プロテアソーム系で分解されることがわかっており、MRT、EpSに加えて、SSも発がん性変異SWI/SNF(BAF)複合体による疾患であると考えられている(Kadoch et al. Cell 2013)。しかし、SS18-SSXの発がん性が、 腫瘍抑制遺伝子SMARCB1/BAF47/INI1を欠くことによるものか、SS18-SSXが結合した変異SWI/SNF(BAF)複合体が別の発がん機序を持つのか、いまだ解明されていない。本発表では、米国留学期間中に携わった、MRT、EpS、SSの細胞株を用いた変異SWI/SNF(BAF)複合体の機能解析の成果を最新の知見を含めて報告する。

世話人: 〇山田 泰広 (先進病態モデル研究分野)
 小沢 学 (生殖システム研究分野)