東京大学医科学研究所

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学友会セミナー

学友会セミナー:2018年5月14日

開催日時: 2018年5月14日 16:00 ~ 17:00
開催場所: 総合研究棟4階 会議室
講師: 竹山 春子
所属: 早稲田大学理工学術院先進理工学部生命医科学科 教授
演題: 微生物シングルセル解析への挑戦
概要:

環境中の微生物はそのほとんどが難培養性であるため、培養や微生物単離を経ずにDNAを直接調べるメタゲノム解析が用いられてきた。しかしながら、メタゲノム解析は、多量の遺伝子断片情報から微生物叢の全体組成を明らかにし特定の遺伝子配列を探索することができるが、断片化した遺伝子情報から微生物個々のゲノムを再構築し「どの微生物がどの遺伝子を保有していたのか」を理解することは困難であった。
 個々のゲノム情報を単一細胞レベルで詳細に解読する「シングルセルゲノム解析」は、この課題を解決するカギとなるアプローチである。その実現には技術的な課題として、次世代シークエンサーで解析するに足りる増幅DNAの確保、特にどれだけ純度の高いDNAを調整するかがポイントとなる。具体的には、細胞分取の精度、ゲノムDNA抽出時のロス、増幅時に生じるバイアス、コンタミネーションなどが解析結果に非常に大きな影響を与える。本講演では、これらの課題を解決するためのマイクロ流体デバイスにより調整したドロップレットを用いたシングルセルゲノム解析法を紹介する。本法は、高速・ハイスループットで解析が可能であり、さらに情報解析を駆使することで土壌細菌・マウス腸内細菌等から新規微生物のドラフトゲノム情報を数多く得ることが可能となることを示している。さらに、同一種の未培養細菌において、特定遺伝子にSNPが蓄積していることを観測できることも確認している。
このように1細胞のゲノムを効率的に解析するだけでなく、その細胞内に含まれている有用物質のスクリーニング技術の開発も行っている。特に、ゲノム解析の前に、その細菌が有用菌であるかどうかを非破壊的に解析する方法として、顕微ラマン分光法の活用を進めている。現在、顕微ラマン顕微鏡とマイクロドロップレット法を用いた、新たなシングルセル解析プラットフォームを構築中であり、様々な細菌のポテンシャルを最大限活用する新たな研究分野の展開を進めている。

世話人: 〇清野 宏(粘膜免疫学部門)
 三宅 健介(感染・免疫部門)