東京大学医科学研究所

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学友会セミナー

学友会セミナー:2017年11月22日

開催日時: 2017年11月22日 16:00 ~ 17:30
開催場所: 2号館小講義室
講師: 北川 雅敏
所属: 浜松医科大学・医学部・分子生物学講座・教授
演題: TGFβ-Smad経路を制御する新規長鎖ノンコーディングRNA
概要:

長鎖ノンコーディングRNA(lncRNA)はヒト細胞で数万あると予想されているが、機能が報告されているものは数%にすぎず、ゲノムのブラックボックスといえる。 lncRNAはmiRNAのスポンジ、タンパク質相互作用の仲介、クロマチン制御因子のリクルーター等の多様な分子機能により、発生、細胞増殖及び癌の進展等様々な生命現象へ関与することが示唆されている。本セミナーでは我々が最近見いだしたTGFによって誘導される新規lncRNA ELIT-1を紹介する。ELIT-1はTGF刺激に反応するA549、Huh7、MDA-MB-231等の様々な細胞株において誘導された。このELIT-1遺伝子の上流にはSBE (Smad-binding element)があり、CanonicalなTGF-Smad経路を介して転写誘導されることがわかった。ELIT-1をノックダウンするとTGFで誘導されるN-cadherin、vimentin等のEMT関連遺伝子の転写が抑制され、上皮間葉転換(EMT)が抑制された。このことから、我々はこの新規lncRNAをELIT-1 (EMT-promoting lncRNA induced by TGF-1)と命名した。興味深いことにELIT-1はSmad3と特異的に結合することがRIP assayにより証明された。さらにSmad3の標的遺伝子プロモーターへのリクルートをELIT-1が促進することが明らかとなった。これまでTGFによって誘導されるlncRNAの報告はいくつかあるが、Smadと直接結合して、TGF経路を制御するlncRNAは報告されておらず、ELIT-1はSmadのモデュレーターとして機能するlncRNAであることが示唆された。

世話人: 〇中西 真 (癌防御シグナル分野)
  北村 俊雄 (細胞療法分野)