東京大学医科学研究所

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学友会セミナー

学友会セミナー:2017年11月6日

開催日時: 2017年11月6日 16:00 ~ 17:00
開催場所: 総合研究棟4階会議室
講師: 佐藤 佳
所属: 京都大学ウイルス・再生医科学研究所 システムウイルス学分野・講師
演題: ヒト化マウスモデルを用いたHIV-1感染病態の解析:
ウイルス感染ダイナミクスの包括的理解に向けて
概要:

感染症の病態理解のためには動物モデルが不可欠であるが、エイズの原因ウイルスであるHIV-1の宿主はヒトとチンパンジーに限られており、実験動物モデルの使用は困難であった。この問題を克服するために、演者は、免疫不全マウスであるNOGマウスにヒト造血幹細胞を移植し、ヒト造血能を賦与した「ヒト化マウス」を作製した。ヒト化マウスはHIV-1に感受性であり、血中CD4T細胞(主たるHIV-1感染標的細胞)の漸進的減少に代表される感染病態を再現する(Nie and Sato et al., Virology, 2009; Sato, Nie, and Misawa et al., Vaccine, 2010)。
 培養細胞を用いた実験から、ヒトは、HIV-1の複製を阻害するタンパク質(宿主因子)を内在的にコードしていること、またその一方で、HIV-1は、宿主因子を拮抗阻害するタンパク質(ウイルス因子)を自身のゲノムにコードしていることが明らかとなっている。しかし、HIV-1の感染病態を再現できる動物モデルが存在しなかったため、生体内における宿主因子とウイルス因子の相互作用の実態は不明であった。演者はこれまで、HIV-1感染ヒト化マウスモデルを用い、生体内におけるウイルス因子と宿主因子の相克、および、それらと感染病態発現の関連が明らかにしてきた(Sato et al., J Virol, 2010; Sato et al., J Virol, 2012; Sato et al., PLOS Pathog, 2013; Sato and Takeuchi et al., PLOS Pathog, 2014; Nakano et al, PLOS Pathog, 2017; Yamada et al, Cell Host Microbe, accepted)。
 さらに演者は、HIV-1感染ヒト化マウスモデルと次世代シーケンス技術を駆使し、生体内におけるHIV-1感染ダイナミクスの包括的理解に向けた学際融合研究を展開している。本講演では、演者がこれまでに明らかにしてきたHIV-1感染ダイナミクスに関する研究成果を概説すると共に、演者が展開している学際融合研究「システムウイルス学」について紹介したい。

世話人: 〇河岡 義裕 (ウイルス感染分野)
  川口 寧 (ウイルス病態制御分野)