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粘膜免疫を用いたアルツハイマー病のワクチン療法の開発

学友会セミナー

学友会セミナー:2008年01月10日

開催日時: 2008年01月10日 17:00~18:00
開催場所: 総合研究棟4F
講師: 田平 武 先生
所属: 国立長寿医療センター研究所 所長
演題: 粘膜免疫を用いたアルツハイマー病のワクチン療法の開発
概要:

1999年米国エラン社のDale 蛋白(Abeta)で免疫したとき、老人斑の形成が予防できることを発見した。また、彼らはある種のAbeta抗体の受身移入によっても同様の効果が得られることを示した。そこで凝集Abeta1-42とアジュバントQS21よりなる筋注ワクチンの治験が行われたが、自己免疫性と思われる髄膜脳炎が出現した為2002年はじめこの治験は中止になった。治験は中止となったが、ワクチン接種によりヒトでも老人斑が消失し、老人斑に結合する抗体が上昇した患者では進行が緩徐になった。Schenkらはアミロイド前駆体蛋白(APP)遺伝子導入マウスをアミロイド
 我々はアデノ随伴ウイルスベクターにAbeta cDNAを組換えた経口ワクチンを開発した。APPトランスジェニックマウス及び老齢サルで調べたところ、1回の経口投与で極めて有効であり、脳炎などの副作用は見られなかった。また、ワクチン接種したマウスでは学習機能の改善が見られた。
 さらに我々はセンダイウイルスベクターにAbeta cDNAとIL-10 cDNAを組み換えた経鼻ワクチンも開発した。これを24ヵ月齢のAPPトランスジェニックマウスに1滴経鼻投与すると、8週後には老人斑が著明に減少していた。これらのワクチンはアルツハイマー病の予防・治療に有用であると期待される。

世話人: ○炎症免疫学分野 清野 宏, ウイルス感染分野 河岡 義裕