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「生物分子モーター・キネシンとダイニンの構造と仕組み」

学友会セミナー

学友会セミナー:2007年12月20日

開催日時: 2007年12月20日 15:00 ~ 16:30
開催場所: 白金ホール
講師: 吉川雅英
所属: 京都大学大学院理学研究科・教授
演題: 「生物分子モーター・キネシンとダイニンの構造と仕組み」
概要:

キネシンとダイニンは、ATPの加水分解による化学エネルギーを機械的な動きに変換するナノメータースケールの分子モーターである。この2つのモーターは細胞内輸送、例えば、軸索輸送、染色体の分離、そして鞭毛の動きに欠かせない。このモーターの仕組みを調べるため、我々はクライオ電子顕微鏡とX線結晶解析を使って解析を行ってきた。最近の研究から、キネシンと微小管の複合体については、10Å解像度の構造が得られ、αヘリックスなどが見えてきた。さらに、ADP状態と ATP状態の構造を比べることで、X線結晶解析では見られなかった構造変化がわかった。また、ダイニンについても、軸糸ダイニンと細胞質ダイニンの両方について微小管との複合体を、そのクライオ電子顕微鏡写真から三次元再構成し、いままで予想されなかった新たな構造変化を観察することが出来た。こうした結果をもとに、キネシンとダイニンの動きの共通点・違いを議論する。  
文献:Mizuno N., A. Narita, T. Kon, K. Sutoh, and M. Kikkawa. Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A., (in press); Oda T., N. Hirokawa, and M. Kikkawa. Journal of Cell Biology 177:243-252, 2007; Kikkawa, M., H. Hirokawa. EMBO Journal, 25:4187-4194, 2006.

世話人: ○川口 寧、中川一路