東京大学医科学研究所

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学友会セミナー

学友会セミナー:2014年10月7日

開催日時: 2014年10月7日 13:30-14:30
開催場所: 1号館2F会議室
講師: 後藤 義幸
所属: Department of Microbiology and Immunology, Columbia University Medical Center, 博士研究員
演題: セグメント細菌による自然・獲得免疫誘導機構の解明
概要:

セグメント細菌は腸管上皮細胞層に生着している代表的な腸内細菌である。近年、セグメント細菌は腸管Th17細胞やIgA抗体産生の誘導など、宿主の腸管免疫機構の構築に深く関与する事が報告されてきた。特にセグメント細菌によって誘導されるTh17細胞は、病原性微生物に対して防御的役割を担う一方、自己免疫性関節炎や実験的自己免疫性脳脊髄炎の発症を増悪させる事が知られている。しかし、セグメント細菌によるTh17細胞の誘導機構の詳細は不明であった。演者らは、セグメント細菌によるTh17細胞の誘導に、抗原提示細胞による抗原提示が関与する可能性を検証し、樹状細胞においてMHCII分子を欠損したマウスでは、セグメント細菌によるTh17細胞の誘導が阻害されている事を見出した。一方、二次リンパ節を持たないLT欠損マウスでは、野生型マウスと同等のTh17細胞が観察される。この事から、セグメント細菌によるTh17細胞の誘導には、腸管局所における樹状細胞の抗原提示が重要である事が示唆される。
 セグメント細菌はT細胞分化の誘導に代表される獲得免疫系を構築する事は知られているが、自然免疫系への関与はこれまで不明であった。演者らは、セグメント細菌によって誘導される腸管上皮細胞の糖鎖修飾、主にフコースの付加反応(フコシル化)に着目し、その誘導機構を解析した。その結果、腸管粘膜固有層に存在する自然リンパ球がセグメント細菌からの刺激を受け、腸管上皮細胞のフコシル化を誘導し、病原性細菌感染を防御する事を明らかとした。
 本セミナーでは、近年注目されている腸内細菌と宿主免疫機構の相互作用について、特にセグメント細菌による腸管免疫機構の誘導に着目し、最新の知見を交えながら紹介したい。

世話人: ○清野  宏 (炎症免疫学分野・教授)
 伊庭 英夫(宿主寄生体学分野・教授)