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The retroviral restriction factor TRIM5α

学友会セミナー

学友会セミナー:2007年11月19日

開催日時: 2007年11月19日 16:00 ~ 17:30
開催場所: アムジェンホール大会議室
講師: 池田康弘 博士
所属: Mayo Clinic College of Medicine
演題: The retroviral restriction factor TRIM5α
概要:

哺乳類細胞は多岐にわたるレトロウイルスの感染抑制戦略を獲得してきた。その一つに、アカゲザルのTRIM5αは、HIV-1の感染をウイルスが侵入後、PIC形成の前段階で、侵入してきたカプシド蛋白を認識することで抑制することがあげられる。TRIM5αはRBCCドメインとB30.2(SPRY)ドメインから成っており、SPRYドメインは、ウイルス抑制作用、特異性を決定している。また、TRIM5αは前駆体であるGag ではなく、細胞に侵入してくるカプシドをターゲットとしており、これまでHIV-1の産生には関与しないとされていた。今回、TRIM5αrhがGagポリ蛋白の分解によりHIV-1産生を抑制することが示された。この特異性はRBCCドメイン配列によって決定されていた。TRIM5αrhがHIV-1産生細胞においてGagの分解によりHIV-1産生を抑制することを明らかにした。これは従来の、侵入してきたウイルスカプシドを標的としたHIV-1抑制経路と異なり、ウイルス増殖環の後期における阻害作用である。TRIM5αの、能動的にウイルス蛋白を分解することによるHIV産生阻害作用について理解が深まれば、新しいカテゴリーの抗HIV-1薬剤の開発につながると考えられる。
文献:Ryuta Sakuma, Josh A Noser, Seiga Ohmine & Yasuhiro Ikeda. Nature Medicine 13 (5): 631-635, 2007.

世話人: 感染症国際研究センター感染制御部門
○川口 寧、俣野哲朗