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マスト細胞による免疫調節機構

学友会セミナー

学友会セミナー:2007年11月27日

開催日時: 2007年11月27日 16:00 ~ 17:00
開催場所: 2号館2階小講義室
講師: 中江 進 博士
所属: 国立成育医療センター研究所 免疫アレルギー研究部
演題: マスト細胞による免疫調節機構
概要:

マスト細胞はIgE受容体に依存した寄生虫感染防御やToll-like receptorを介した細菌感染防御に重要な役割を担う免疫細胞である。一方で、寄生虫感染などに曝されることが少なくなった現代では、アレルゲン—IgE—IgE受容体によるマスト細胞の過剰な活性化が花粉症や喘息などのいわゆるアレルギー疾患の症状の引き金として働き、マスト細胞は、アレルギーを引き起こす「悪玉」として認知されている。実際に、マウスを用いた解析で、マスト細胞はアレルギー反応を悪化させるeffectorとして作用することを様々なモデルで報告してきたが、一方で、アレルギー応答を抑制または鎮静化させるregulatorとしても重要な新規の機能をもつことを報告した。つまり、マスト細胞はアレルギー応答に必ずしも「悪玉」として存在するわけではない。
 本セミナーでは、アレルギー応答において、これまでの概念とは異なり、IgE非依存的な分子機構によるマスト細胞のeffector及びregulatorとしての役割;
1. Th17細胞による好中球性喘息様気道炎症では、マスト細胞はeffectorとして振る舞う(Blood, 109, 3640, 2007)。
2. Th17細胞依存的な皮膚炎(接触型過敏症)では、マスト細胞はregulatorとして働く(Nat Immunol, 8, 1095, 2007)。
についての概要、及び、現在、さらに新しく見いだしたマスト細胞による免疫抑制作用の分子機構と今後の展開について紹介させていただく。

世話人: ○井上 純一郎、岩倉 洋一郎