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嗅覚神経系における匂いとフェロモンの情報伝達

学友会セミナー

学友会セミナー:2007年11月13日

開催日時: 2007年11月13日 17:00 ~ 18:00
開催場所: クレストホール2階会議室
講師: 東原 和成 先生
所属: 東京大学 大学院新領域創成科学研究科
先端生命科学専攻 分子認識化学分野 准教授
演題: 嗅覚神経系における匂いとフェロモンの情報伝達
概要:

匂いやフェロモンといった情報分子は、嗅覚受容体(匂い受容体とフェロモン受容体)によって感知される。食べ物などの一般的な匂いは、活性化される嗅覚受容体の組み合わせで識別されるが、フェロモンなど個体間情報分子は、ある特定の受容体によって高感度かつ特異的に認識される。マウスは、嗅上皮に発現する約1000個の嗅覚受容体
と鋤鼻器官に発現する約250個の鋤鼻受容体によって匂いやフェロモンを感知する。マウスは、揮発性のフェロモンだけでなく、ペプチド性のフェロモンを個体間あるいは異性間でのコミュニケーションに使っている。いずれもGタンパク質を介してセカンドメッセンジャー経路を活性化する。一方、ハエや蛾など空中を飛べる昆虫は、60-190個の嗅覚受容体で匂いやフェロモンを受容する。蛾やハエにおける嗅覚受容メカニズムを解析したところ、マウスとは全く異なる仕組みでイオンチャネルの活性化がみられることがわかった。フェロモンの物性(揮発性か不揮発性か)と受容体の情報伝達機構(Gタンパク質経路
かイオンチャネル型か)は、それぞれの生物の生育環境と生殖行動様式の変遷に伴い、最適なメカニズムへと進化の過程で変化してきた結果だと考えられる。

世話人: ○真鍋俊也、渡辺すみ子