東京大学医科学研究所

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学友会セミナー

学友会セミナー:2010年10月28日

開催日時: 2010年10月28日 18:00-20:30
開催場所: 医科学研究所 1号館講堂
講師: 下記プログラム参照
所属:
演題: "第1回疾患医科学ミニシンポジウム「C型肝炎の最前線~基礎と臨床~」" GCOE特別セミナー(医科学教育セミナー)
概要:

[入場無料・事前登録不要]

【プログラム】
18:00 - 18:05 「ご挨拶、本セミナーシリーズの狙い」
東大医科研 経営戦略室 山川彰夫

18:05 - 18:20 「C型肝炎とはどんな病気?」
東大医科研 疾患制御ゲノム医学ユニット 加藤直也

18:20 - 18:35 「C型肝炎のインターフェロン治療の現状と新たな治療薬
の開発状況」
中外製薬株式会社 プライマリーユニット 山田耕児

18:35 ̶ 19:00 「とうとうできたC型肝炎ウイルス培養系と抗ウイルス薬開発
への応用」
国立感染症研究所 ウイルス第二部 脇田隆字

19:00 ̶ 19:25 「C型肝炎のインターフェロン治療効果を決めるヒトの要因」
国立国際医療研究センター 肝炎・免疫センター 溝上雅史

19:25 ̶ 19:50 「テーラーメイド時代を迎えたC型慢性肝炎治療‐コア蛋白アミ
ノ酸置換とIL28B遺伝子多型を用いた肝病態・治療効果予測‐」
虎の門病院 肝臓センター 芥田憲夫

19:50 ̶ 20:05 「C型肝炎患者が医師、研究者、製薬会社に望んでいること」
NPO法人東京肝臓友の会 米澤敦子

20:05 ̶ 20:25  質疑・パネルディスカッション「C型肝炎治療の将来像」
(全員。ファシリテーター:加藤直也)

20:25 ‒ 20:30 まとめ。次回予告。

【概  要】  
 東京大学グローバルCOEプログラム「ゲノム情報に基づく先端医療の教育研究拠点」(以下、医科研GCOE)では、 先端医療開発を目指した優れた研究拠点を作る事と同時に、将来のグローバルな医療課題に取り組む広い視野を持った「人財」を育成する事の2つをミッションの柱としています。  医科学研究所に学ぶ約300名の大学院生の多くは医師ではなく(非MD院生)、彼らにとっての学部時代のライフサイエンス教育と、専門的あるいは先進的な内容になりがちな大学院における医療・医科学の教育課程との間にギャップが生じる可能性が指摘されています。欧米でもいわゆるTranslational Researchや領域を超えた医学生物学研究に関わる非MDの学生・若手研究者に対するヒトの疾患の基礎知識の教育の重要性が強調され、その為のプログラムの開発が行われています。また、医師や研究者であっても、医科学における極度の専門化の進展から、自分の専門以外の疾患について、最新の知見や基礎から応用・臨床までの先端的知識を持続的に持ち続けることは困難といえます。  これらの課題の解決と領域を超えた研究者の協働を更に促進する目的で、医科研GCOEでは、この秋から新規セミナーシリーズ「疾患医科学セミナーシリーズ」を、2月1度程度のペースで試行的に開始することといたしました。  具体的には、一回に一つの疾患にフォーカスして、基礎医学から応用、診断・治療、場合によっては予防・公衆衛生などの数人の専門家を集め、それぞれの方から、非MD院生や専門外の医師・医療スタッフ・研究者にも理解できるようにそれぞれの課題の最新のレビューをして頂きます。また、ファシリテーターをおいた質疑やパネルディスカッションでは、フロアとの間に加えて、専門家間の討議から、将来の研究の方向性が伺えるようなことも期待して居ます。一つの疾患の研究の結果や経験が他の疾患の研究に多大な影響を与えると言うことは医科学領域では今までもしばしば起こってきた事であります。  

 今回は、シリーズ第1回目ということで、医科研GCOEプログラムによる研究ユニットのチーフである、加藤直也准教授を世話人幹事・ファシリテーターとし、わが国の「21世紀の国民病」とも言われている肝臓病、特に「C型ウイルス肝炎」に絞ったミニシンポジウムを開催します。  わが国のC型肝炎ウイルス感染者は約200万人にも及び、国内最大の感染症です。毎年3万人以上が命を失っている肝細胞癌の約80%がC型肝炎ウイルスによるものであり、C型肝炎はわが国における健康上の大いなる脅威となっています。その治療としてインターフェロンが用いられますが、ペグインターフェロンとリバビリン併用療法という最強の治療法によっても、わが国で最も多いジェノタイプ1型、高ウイルス量患者での奏功率は50%に満たず、新たな治療法の開発が切望されています。昨年11月に肝炎対策法案が制定され、ようやく肝炎の克服に向けた国家的な取り組みがスタートしました。

 本セミナーでは、まずC型肝炎という疾患を理解し、さらに医師、研究者、製薬業者の最新の知見や患者さんのニーズからC型肝炎治療の将来像を描き出し、私たちが今何をすべきかを浮かび上がらせることを目的としています。C型肝炎は、感染から炎症、慢性化、そして発癌という普遍的発癌メカニズムの最も良いモデルであり、がん・感染症・免疫に取り組む医科学研究所の多くの方々に資するものと考えられます。  今回は、C型肝炎の治療を考える上で欠かすことのできない重要な仕事をされたわが国の研究者・医師に骨格となる講演をお願いしてあります。国立感染症研究所ウイルス第二部の脇田隆字部長はC型肝炎ウイルスの培養系の確立に世界で初めて成功しました。この系が確立されたことにより、初めて様々な抗C型肝炎ウイルス薬の開発が可能となりました。国立国際医療研究センターの溝上雅史肝炎・免疫センター長はC型肝炎のインターフェロン治療効果を決定する宿主因子としてIL-28Bの遺伝子多型が重要であることを発見されました。これはC型肝炎治療の最新かつ最大のトピックです。また、虎の門病院肝臓内科の芥田憲夫医師は同じようにC型肝炎のインターフェロン治療効果を決定するウイルス側因子としてコア蛋白の変異が重要であることを発見されました。以上の講演に加え、世界で最も高いシェアを誇るインターフェロンを擁し、新たな治療薬の開発に取り組んでいる中外製薬(ロシュグループ)の山田耕児先生にはインターフェロン治療の現状と新薬開発状況をまとめて頂きます。患者さん側からも、医師、研究者、製薬会社に望むことをNPO法人東京肝臓友の会事務局長の米澤敦子先生にお話しして頂くことにしました。  

 医科学研究所で学び・働く、すべての学生・医師・研究者を始め、このセミナーに興味を持たれる学内・学外のたくさんの多様な方々の参加を歓迎致します。

世話人: ○ 山川彰夫 (経営戦略室)
加藤直也 (疾患制御ゲノム医学ユニット)