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機能的な神経回路形成の分子機構

学友会セミナー

学友会セミナー:2007年09月12日

開催日時: 2007年09月12日 16:00 ~ 17:00
開催場所: アムジェンホール大会議室
講師: 梅森 久視
所属: Molecular & Behavioral Neuroscience Institute and Department of Biological Chemistry, University of Michigan Medical School
演題: 機能的な神経回路形成の分子機構
概要:

あらゆる神経活動は、特異的かつ機能的なシナプス結合によってつながれた脳神経回路により担われている。シナプスは、特異的な神経細胞同士が相互作用することにより作られるが、脳でシナプス形成を誘導する分子については知られていなかった (Fox and Umemori, J. Neurochem., 2006) 。我々は、そのようなシナプス形成分子を脳より生化学的に精製して同定し、そのうちのひとつ、FGF22が小脳でのシナプス形成に重要な役割をしていることを示した (Umemori et al., Cell, 2004) 。また、シナプスは、誘導された後、さらに機能的に成熟し、それが維持されなければならないが、神経筋接合部シナプス形成においては、誘導、成熟、維持のそれぞれのステップに、異なった3つの分子 (FGF、Laminin、Collagen) が順番に働くことを見いだした (Fox et al., Cell, 2007) 。現在、我々は、記憶学習の中心である海馬に焦点を置いて、海馬のシナプスがどのような分子機構で作られ、成熟し、維持されるか、シナプス結合の特異性はどのような分子によって発揮されるのか、そして、シナプスや神経回路が神経活動に応じてどのように改変されていくのかを解析しているので、それもあわせて紹介したい。

世話人: ○山本雅, 真鍋俊也