English
Top

Immune- and Non-Immune-Mediated Periodontal Bone Loss

学友会セミナー

学友会セミナー:2007年08月24日

開催日時: 2007年08月24日 16:00~17:00
開催場所: アムジェンホール大会議室
講師: Dr. Toshi Kawai (河井 敬久) D.D.S., Ph.D.
所属: Department of Immunology, The Forsyth Institute、Boston, Massachusetts
演題: Immune- and Non-Immune-Mediated Periodontal Bone Loss
概要:

歯周炎は細菌の複合感染が原因で起こる慢性炎症性病変であるが、局所における組織破壊、特に病的骨吸収を説明する分子生物学的な機構は不明な点が多く残されている。約30%の成人が罹患していると言われる歯周炎は、動脈硬化症に例えられるその他全身性疾患への影響のために、その発症機序並びに治療法の解明が求められている。近年における破骨細胞分化因子、RANKL (Receptor Activator for Nuclear Factor κ B Ligand) の発見により、破骨細胞の分化活性化によって起こる骨吸収機構が明らかにされ、歯周炎における病的骨吸収においてもRANKLの関与が示唆されている。
我々は昨年、本来なら細菌感染に対して防御的に働くはずの免疫担当細胞(T細胞とB細胞) がRANKLを産生することにより歯周局所における病的骨吸収を誘導しうることを報告した(Am J Path 2006)。そして、この免疫担当細胞から産生されるRANKL は、歯周局所におけるFOXP3陽性のTreg細胞の存在と関連していることも報告した(Clin Exp Imm 2007)。さらに、歯周病原細菌の産生するLPSとは構造の異なるリピドがRANKL非依存的に破骨細胞の分化活性化を促す可能性も認めた。これらの新知見を基に、どのような機序で歯を取り巻く骨の吸収が起こるのか?歯周病原細菌に対する免疫応答はいかに骨吸収に影響するのか?歯周炎の骨吸収は治療可能か?今回のセミナーでは歯周炎における病的骨吸収が誘導される機序について現時点における我々の作業仮説を紹介していく。

世話人: ○各務秀明(本田雅規75120)、渡辺すみ子