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「成長因子の小胞体内トラップ:その生理的意義」

学友会セミナー

学友会セミナー:2007年07月11日

開催日時: 2007年07月11日 16 :00 ~ 17 :30
開催場所: アムジェンホール大会議室
講師: 門松 健治 教授
所属: 名古屋大学大学院医学系研究科 生物化学講座
演題: 「成長因子の小胞体内トラップ:その生理的意義」
概要:

細胞が成長因子とその受容体を発現し自身にシグナルが入る、いわゆるオートクラインは1980年に提唱され、数多くのデータがこの機構の存在と生物学的意義を支持している。一方、1980年代の終わりには小胞体内に滞留した成長因子とその受容体の結合がシグナルを送りうることがIL-3や PDGFについて報告された(productive premature interactionと仮に呼ぶ)。これらの報告は当時大いに脚光を浴びたのであるが、カルネキシンサイクルを中心としたタンパク質の折りたたみや糖鎖付加の初期段階を司る小胞体の機能が随分と明らかになった今となってはproductive premature interactionの考え方には無理があるといわざるを得ない。
本セミナーでは我々の未発表データを中心に成長因子と受容体のpremature interactionがこれらの分子の生合成に負の働きをすることを報告する。小胞体でのタンパク質合成制御機構はミスホールドしたタンパク質への反応(翻訳の停止、小胞体内シャペロンの誘導、ミスホールドタンパク質の分解)が有名だが、premature interactionはより直接的な制御機構として注目に値すると考える。その生理的な意義について議論し、批判を受けたい。

世話人: ○中 村 義 一、  渡邉 すみ子