アレルギー:免疫を基盤としたその予防と治療
学友会セミナー
学友会セミナー:2007年06月20日
開催日時: | 2007年06月20日 14:45~16:15 |
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開催場所: | 2号館2F 大講義室 |
講師: | 烏山 一 |
所属: | 東京医科歯科大学医歯学総合研究科免疫アレルギー学分野 |
演題: | アレルギー:免疫を基盤としたその予防と治療 |
概要: | アレルギー反応にマスト細胞(肥満細胞)が重要な役割を果たしていることはよく知られた教科書的事実である。それに比べ、好塩基球の生体内での役割に関する知見はきわめて乏しい。好塩基球は、末梢血白血球のわずか0.5%を占めるに過ぎないマイナーな存在で、その特徴・機能の多くがマスト細胞と重複するということから、「末梢血循環型のマスト細胞」などと揶揄されるなど、マスト細胞の陰に隠れた脇役として長いこと無視され続けてきた。私たちは、世界に先駆けて、抗原特異的IgEを恒常的に産生するIgEトランスジェニックマウスの樹立に成功し、その解析からIgEが即時型アレルギーのみならず、強い好酸球浸潤をともなう慢性アレルギー炎症にも寄与していることを明らかにした。この抗原特異的IgE依存性慢性アレルギー炎症の誘導には、マスト細胞やT細胞はいらないが、好塩基球の存在が必須であることが判明した。好塩基球は、炎症巣に浸潤している細胞のわずか2%を占めるに過ぎないが、独自に樹立した好塩基球除去抗体をマウスに投与すると、好塩基球のみならず好酸球・好中球の組織への浸潤が阻害され、慢性アレルギー炎症が完全に抑制された。すなわち、IgE依存性慢性アレルギー炎症においては、好塩基球は炎症のエフェクター細胞(実行部隊)としてではなく、イニシエーター(指揮官)として機能しているという新事実が明らかとなった。
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世話人: | ○三宅健介、清野宏 |