東京大学医科学研究所

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学友会セミナー

最新の学友会セミナー

開催日時: 2017年8月23日 17:00 ~ 18:00 
開催場所: 2号館小講義室
講師: 田畑 泰彦
所属: 京都大学ウイルス・再生医科学研究所
再生組織構築研究部門 生体材料学分野・教授
演題: バイオマテリアル技術が支える先端医療と研究
概要:

再生医療とは、体本来のもつ自然治癒力を高める先端医療の一つである。この自然治癒力の基である細胞の増殖、分化(成熟して生物機能をもつこと)能力を高めることで、再生医療が可能となるであろう。再生医療は再生治療と再生研究からなっている。細胞力を活用した先進治療が再生治療であり、再生研究とは、その治療を科学的に支える基礎生物医学研究である。このいずれに対しても、細胞能力を高めるための周辺環境を作り与えるためのバイオマテリアル技術が必要不可欠となっている。
本講演では、再生医療(再生治療と再生研究)におけるバイオマテリアル技術の重要性と必要性について議論したい。

世話人: 〇谷 憲三朗 (ALA先端医療学)
  東條 有伸 (分子療法分野)
開催日時: 2017年7月27日 17:00 ~ 18:00
開催場所: 総合研究棟4階セミナー室 
講師: 小柴 琢己
所属: 九州大学 大学院理学研究院 准教授
演題: ミトコンドリアを介した抗ウイルス自然免疫機構
概要:

細胞内のエネルギー工場であるミトコンドリアは、真核細胞には不可欠のオルガネラであり、その主な生理機能はATPの産生である。しかしながら、ミトコンドリアはそれ以外の様々な生理現象(アポトーシス、老化、変性疾患、発ガンなど)とも関連していることが知られており、最近の研究からもウイルスに対する自然免疫と密接に関係していることが明らかになってきた。ミトコンドリアがウイルス感染細胞内において機能発現する際、RIG-Iと呼ばれる細胞内RNAセンサーがウイルスRNAを認識し、その情報をミトコンドリア外膜上に局在するMAVSに伝達することで最終的に免疫応答を誘引する。このように細胞内におけるウイルス免疫反応では、ミトコンドリアがその中心的な反応場を提供していることは明らかであるが、その生理的な意義は依然として不明な点が多く残されている。
 本セミナーでは、ミトコンドリアを介した抗ウイルス自然免疫機構に関する私たちの研究室での新たな知見を紹介する。

世話人: 〇一戸 猛志 (ウイルス学分野)
 河岡 義裕 (ウイルス感染分野)
開催日時: 2017年8月4日 13:00 ~ 14:00
開催場所: 総合研究棟8階大セミナー室 (入棟の際は、入口備付の電話でex75615, 75617 or 75618に連絡のこと)
講師: 高井 英里奈
所属: 国立がん研究センター研究所・特任研究員
演題: 血中遊離DNAシーケンス解析によるがんのLiquid biopsy
概要:

血液をはじめとする体液を用いた低侵襲な分子診断は”liquid biopsy”と呼ばれ、近年盛んに研究が行われている。がん患者の血中遊離DNA(cell-free DNA; cfDNA)にはがん細胞由来のDNA(circulating tumor DNA; ctDNA)が含まれており、ctDNAのゲノム異常を検出することで、がんの早期診断や治療選択、高精度な病態モニタリングが可能になると期待されている。
これまで我々は、がんの個別化治療におけるcfDNAのターゲットシーケンス解析によるliquid biopsyの可能性について検討を行ってきた。cfDNAのシーケンス解析は腫瘍組織検体の採取が困難な症例にも適用可能であり、さらに組織生検よりもがんゲノムの多様性を反映した包括的な情報を得ることができる可能性がある。血中に存在するctDNAはごくわずかであるが、高感度な解析により低アレル頻度の変異も検出することが可能となり、難治がんの代表である膵臓がんでも、30%程度の進行がん患者において何らかの治療標的となりうるゲノム異常を検出できることが示唆され、がんのゲノム異常に基づいた個別化治療における低侵襲な診断法としての応用が期待される。
本セミナーでは、上記のcfDNAのシーケンス解析を含めたこれまでの我々の研究に加え、がんのliquid biopsyの臨床応用に向けた課題などについても議論したい。

世話人: 〇宮野 悟 (DNA情報解析分野)
 井元 清哉(健康医療データサイエンス分野)
開催日時: 2017年9月6日 17:00 ~ 18:00
開催場所: 1号館講堂
講師: 末松 誠
所属: 国立研究開発法人日本医療研究開発機構・理事長
演題: AMEDのミッション:グローバルデータシェアリングの課題
概要:

末松誠理事長は、平成27年4月に設立された、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(以下 AMED)の初代理事長に就任され、以来、日本の医療分野の研究開発を強力に推進するための制度設計、改革等の数々の取組を、AMEDの先頭に立って行ってこられました。また、理事長は、AMEDの考え方、その事業における医療分野の研究開発の方向性などを、数多くのご講演を通して広く内外の関係者に説明する活動をされております。そのご講演に通底するキーワードとして「Balkanization(バルカン半島諸国のように異なる文化でサイロ化した状態)」をAMEDが克服すべき大きな課題として挙げられています。
今回は、「AMEDのミッション:グローバルデータシェアリングの課題」ということで、医療分野の研究開発におけるグローバルデータシェアリングの実際とその課題についてご講演いただきます。
世界では、ジカ熱研究における論文発表前のデータシェアリングなど、今までの医学・生物学研究では、想像できなかった枠組みが動き出しています。また、AMEDは、「疾病克服に向けたゲノム医療実現化プロジェクト ゲノム医療実現のためのデータシェアリングポリシー」を策定し、正確な臨床・健診情報が付加されたゲノム情報をデータシェリングにより利活用し研究を推進することが、国民の健康を向上させ疾患を克服するために重要であるという考えを示しています。当研究所は、臨床ゲノム情報と基礎研究の現場を繋げた研究開発を行うために必要な人材・施設を有しており、ご講演では、グローバルな視点から見た当研究所への期待等も伺えるのではないかと思います。
皆様のご参集と活発なご討論をお待ちしております。

世話人: 〇村上 善則(所長)
  武川 睦寛(副所長)
開催日時: 2017年9月6日 17:00 ~ 18:00
開催場所: 1号館講堂
講師: 末松 誠
所属: 国立研究開発法人日本医療研究開発機構・理事長
演題: AMEDのミッション:グローバルデータシェアリングの課題
概要:

末松誠理事長は、平成27年4月に設立された、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(以下 AMED)の初代理事長に就任され、以来、日本の医療分野の研究開発を強力に推進するための制度設計、改革等の数々の取組を、AMEDの先頭に立って行ってこられました。また、理事長は、AMEDの考え方、その事業における医療分野の研究開発の方向性などを、数多くのご講演を通して広く内外の関係者に説明する活動をされております。そのご講演に通底するキーワードとして「Balkanization(バルカン半島諸国のように異なる文化でサイロ化した状態)」をAMEDが克服すべき大きな課題として挙げられています。
今回は、「AMEDのミッション:グローバルデータシェアリングの課題」ということで、医療分野の研究開発におけるグローバルデータシェアリングの実際とその課題についてご講演いただきます。
世界では、ジカ熱研究における論文発表前のデータシェアリングなど、今までの医学・生物学研究では、想像できなかった枠組みが動き出しています。また、AMEDは、「疾病克服に向けたゲノム医療実現化プロジェクト ゲノム医療実現のためのデータシェアリングポリシー」を策定し、正確な臨床・健診情報が付加されたゲノム情報をデータシェリングにより利活用し研究を推進することが、国民の健康を向上させ疾患を克服するために重要であるという考えを示しています。当研究所は、臨床ゲノム情報と基礎研究の現場を繋げた研究開発を行うために必要な人材・施設を有しており、ご講演では、グローバルな視点から見た当研究所への期待等も伺えるのではないかと思います。
皆様のご参集と活発なご討論をお待ちしております。

世話人: 〇村上 善則(所長)
  武川 睦寛(副所長)
開催日時: 2017年7月27日 16:00 ~ 17:30
開催場所: 2号館小講義室
講師: 1.山本 正人
2.中井 浩之
所属: 講師1.ミネソタ大学外科学・教授、基礎・トランスレーショナル
研究室ディレクター

講師2.オレゴン健康科学大学医学部 分子遺伝医学・教授
演題: 講演1部 選択感染型腫瘍溶解アデノウイルスの作成と応用

講演2部 アデノ随伴ウィルス(AAV)ベクターと遺伝子治療:
次世代中枢神経系遺伝子導入ベクターの開発にむけて
概要:

講演1部
癌の診断法は長足の進歩を遂げているが、未だに多くの患者が、診断時点で局所での広がりまたは転移のために、外科的治療を受けられない状態で見つかってくる。これらの患者を救うためには局所療法では不十分で、腫瘍罹患臓器以外の広範な治療を可能にするベクターの開発が待たれている。アデノウイルスは、比較的よく増殖メカニズムの解明されているウィルスで、fiber先端部のAB-loopが細胞表面のレセプターに結合することで感染がおこる。我々はこの部分に7アミノ酸のランダム・ライブラリーを入れたhigh-diversity libraryを作成し、oncolytic virusの特性を利用したhigh-throughput screeningを行って、様々な癌細胞表面の抗原を標的とするウィルスを作成してきた。Mesothelinを標的とするウィスルスは、全身投与で膵癌xenograft modelに対する良好な治療効果を示し、hexonのさらなる改変による他の臓器によるsequestrationの低減はさらなる治療効果の増強を期待させる。CD133を標的とするウィルスは、大腸癌の腫瘍形成能を著しく抑制し、特に放射線療法抵抗性の大腸癌に対する治療効果を示す。これらの例は、選択感染型腫瘍溶解アデノウイルスのポテンシャルと広い応用可能性をしめすものである。

講演2部
AAVベクターは直接体内に投与することにより安全に効率よく遺伝子導入ができることから、現在最も好んで遺伝子治療に用いられているウィルスベクターである。とはいえ、不十分な組織特異性、中和抗体によるベクターの失活、免疫原性など、解決すべき問題が残されているのも事実である。中枢神経系細胞遺伝子導入においては、静脈投与にて血液脳関門(BBB)の透過性が示されているAAVベクターはあるもののBBB透過には高力価投与が必要性であり、中枢神経系細胞特異的に効率よく遺伝子を導入しうるベクターはまだ開発されていない。我々の研究室では、これらの問題を克服すべく、DNA・RNAバーコーディングと次世代シーケンスを組み合わせた網羅的AAVベクター機能解析法を考案し、解析によって得られたウィルス構造機能相関に関する膨大な情報に基づいた知識基盤の構築とその新規ベクター開発への応用に取り組んでいる。講演では、我々が行っているAAVベクターの研究とその成果を、中枢神経系遺伝子導入ベクター開発に焦点を当てて紹介、解説する。

世話人: 〇小澤 敬也(病院長、遺伝子治療開発分野・教授)
  北村 俊雄(細胞療法分野・教授) 
開催日時: 2017年7月20日 17:00 ~ 18:00
開催場所: 記念館多目的室
講師: 東 義明
所属: University of Kansas, Department of Molecular Bioscience / Associate professor
演題: M期染色体セントロメアにおけるSUMO修飾の役割 (Role of mitotic SUMOylation on functions & organization of mitotic centromeres)
概要:

Accurate chromosome segregation in mitosis is an essential process to maintain complete genomic information in each daughter cell. Failure of faithful chromosome segregation during anaphase causes developmental defects and contributes to tumor progression by alteration of the genome. Both genetic and biochemical studies indicate that the posttranslational protein modification by Small Ubiquitin-like MOdifier (SUMO), SUMOylation, has an essential role in normal chromosome segregation. We have approached to elucidate molecular mechanism of SUMOylation on chromosome segregation by using Xenopus egg extracts cell-free assay.
Our results determine that SUMOylated proteins are enriched at mitotic centromeres and could regulate their enzyme activity. In addition, SUMOylation of centromeric proteins can provide binding site for other cellular proteins that have SUMO-interacting motif (SIM) on their primary structure for efficient recruitment of SIM-containing proteins at mitotic centromeres. Identified these SUMO-dependent centromeric proteins, which have SIMS, includes histone modification enzymes and nucleosome remodeling factors. Suggesting mitotic centromeric SUMOylation could regulate histones on mitotic centromeres. Consistent to these findings, we found mitotic SUMOylation contribute to establishment of epigenetic information at mitotic centromeres. With our recent findings, I would like to discuss potential role of mitotic SUMOylation on regulation of centromeric functions and on organization of vertebrate centromeric structure.

世話人: 〇中西 真 (癌防御シグナル分野)
  北村 俊雄 (細胞療法分野)
開催日時: 2017年7月20日 12:00 ~ 13:00
開催場所: 2号館 小講義室
講師: Helen E Heslop
所属: Professor Departments of Medicine and Pediatrics Section of Hematology-Oncology, Director - Center for Cell and Gene Therapy Baylor College of Medicine
演題: Adoptive transfer of virus-specific T cells
概要:

Viral infections are still a major complication during the period of immune suppression that follows allogeneic hematopoietic stem cell transplantation (HSCT). Adoptive transfer of donor-derived virus-specific cytotoxic T cells (VSTs) is a strategy to rapidly restore virus-specific immunity to prevent or treat viral diseases after HSCT that was initially reported in 1992 in CMV infection. Since then multiple studies using different expansion or direct selection techniques have shown that donor-derived VSTs confer protection in vivo after adoptive transfer in 70% to 90% of recipients with CMV or adenovirus infections and EBV lymphoproliferation. Because a major cause of failure is lack of immunity to the infecting virus in a naïve donor, more recent studies have infused closely matched third-party VSTs and reported encouraging response rates between 50 and 90%. Current efforts are investigating broadening the applicability of this approach by simplifying manufacture, extending the number of viral antigens being targeted and optimizing “off the shelf” approaches. Most importantly there are several late phase trials underway that will hopefully move this strategy to standard of care.

世話人: 〇東條 有伸 (分子療法分野)
 四柳  宏 (感染症分野)
開催日時: 2017年7月13日 17:00  ~ 18:00
開催場所: 2号館大講義室
講師: Irena Mlinarič-Raščan
所属: Dean, University of Ljubljana, Faculty of Pharmacy・Professor
演題: Immunoproteasome targeting
概要:

Innovative approach to drug discovery involves targeting apoptosis through the inhibition of the ubiquitin-proteasome pathway. The constitutive proteasome is the prevailing proteasome species in all cells of non-hematopoietic origin. In contrast, the immune cells predominantly express the immunoproteasome, in which the enzymatically active subunits β1, β2, and β5 are replaced by β1i, β2i, and β5i, respectively, to form the i-20S core. The preferential expression of i-20S has also been observed in some B malignancies, suggesting that specific immunoproteasome inhibition could be a promising therapeutic strategy. Bortezomib and other proteasome inhibitors target both the constitutive and the immunoproteasome indiscriminately. This lack of specificity may in part explain some of the side effects of these agents such as peripheral neuropathy and gastrointestinal effects. Selective inhibition of the i-20S should maintain antimyeloma and antilymphoma efficacy while reducing the above-mentioned toxicities. Targeted inhibition of the immunoproteasome presents a potent strategy against models of multiple myeloma since it overcomes the resistance, which is characteristic for conventional drugs and nonspecific proteasome inhibitors. We have contributed to the field of proteasome inhibitors by identifiying psoralene derivatives with nanomolar inhibitory constant of Chymothryipsin-like proteasomal activity (Angewante Chemie, 2016 ) .

世話人: 〇井上 純一郎 (分子発癌分野)
  山梨 裕司 (腫瘍抑制分野)
開催日時: 2017年7月26日  18:00 ~ 19:00
開催場所: 病院棟8階北(大)
講師: 谷口 英樹
所属: 橫浜市立大学 大学院医学研究科 臓器再生医学・教授
橫浜市立大学 先端医科学研究センター 研究開発部門・部門長
演題: iPS細胞を用いたヒューマン・オルガノイド研究の新展開
概要:

肝不全は致死的な病態であり、肝臓移植のみが唯一の救命手段である。しかしながら、世界的にドナー臓器の不足は明らかであり、iPS細胞から治療用ヒト臓器を人為的に創出するための技術開発が極めて重要な解決課題となっている。
 我々は、これまでに器官発生プロセスを模倣することにより、iPS細胞を用いてヒト肝臓原基(肝芽)の創出を可能とする、革新的な三次元培養技術を確立してきた。すなわち、ヒト肝前駆細胞・血管内皮細胞・間葉系細胞の共培養により、三次元構造を有するヒト肝臓原基を人為的に再構成できることを明らかにしている。そして、この三次元培養技術が他の臓器(膵臓・腎臓)や癌組織の再構成にも応用可能であることを示している。
 現在、ヒトiPS細胞由来肝芽の大量調製・品質評価・移植操作技術の開発を推進中であり、臨床試験の早期実施を目指して準備を進めている状況にある。さらに、この3次元培養法を新たなPhenotypic screening系として活用するための技術開発も実施しており、B型肝炎ウイルスの感染系構築、非アルコール性脂肪性肝疾患の病態再現、間質を有する膵癌組織の再構成などについて成果が得られつつある。
 本講演では、ヒトiPS細胞を用いた肝芽創出により扉が開かれたヒューマン・オルガノイド研究の新展開について紹介する。

1. Nature 546:533-538,2017
2. Development 144:1018-1024, 2017
3. Cell Stem Cell 16: 556-565, 2015
4. Journal of Clinical Investigation 124:4325-34, 2014
5. Nature Protocols 9:396-409, 2014
6. Nature 499:481-484,2013

世話人: 〇北村 俊雄 (細胞療法分野)
  武川 睦寛 (分子シグナル制御分野)