東京大学医科学研究所

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学友会セミナー

最新の学友会セミナー

開催日時: 2017年7月25日 17:00 ~ 18:00
開催場所: 病院棟8階北(大)
講師: 岩間 厚志
所属: 千葉大学大学院医学研究院細胞分子医学・教授
演題: 造血幹細胞機能のエピジェネティック制御
概要:

幹細胞特有な細胞特性がエピジェネティックな観点から解明されつつある。幹細胞ではがん抑制遺伝子や分化制御遺伝子の発現が抑制されているが、細胞分化に伴いいつでも活性化され得る可逆的な発現抑制状態を維持している。この可逆的な発現抑制状態が幹細胞の自己複製能や多能性を決定付ける要因の一つである。我々はヒストン修飾を介した造血幹細胞の機能制御の解析を進めている。
ポリコーム群複合体は、polycomb repressive complex (PRC) 1とPRC2に大別され、それぞれH2AK119のモノユビキチン化 (H2AK119ub1) とH3K27のトリメチル化 (H3K27me3) を介して遺伝子発現を抑制的に制御する。我々は、造血幹細胞において、ポリコーム群複合体ががん抑制遺伝子や分化関連遺伝子の可逆的な発現抑制を介して、幹細胞の自己複製能・未分化性を維持することを明らかにしてきた。また、胎児(胎児肝)型遺伝子発現プログラムの成体(骨髄)型へのリプログラミングにも関与する。その活性の操作は幹細胞活性の維持・増強にもつながる。一方で、加齢に伴いPRC2機能は軽度に抑制され、加齢幹細胞の特性変化の一因となること、加齢に伴い増加する骨髄球系造血器腫瘍発症のエピゲノム要因となりうることが明らかになりつつある。本セミナーではポリコーム群複合体による造血幹細胞制御の多様な機能について議論したい。

世話人: 〇北村 俊雄 (細胞療法分野)
  武川 睦寛 (分子シグナル制御分野) 
開催日時: 2017年6月19日 15:00 ~ 16:00
開催場所: 2号館小講義室
講師: Colleen Delaney
所属: Director, Program in Cord Blood Transplantation, Fred Hutchinson Cancer Research Center
Associate Professor, Pediatric Hematology/Oncology, University of Washington
Chief Medical Officer, Nohla Therapeutics
演題: Development of a Universal Donor Expanded Hematopoietic Stem and Progenitor Cell Product for Bridging Hematopoiesis
概要:

Dr. Delaney’s research interests focus on the role of the Notch signaling pathway in hematopoietic stem cell regulation and ex-vivo expansion of umbilical cord blood stem and progenitor cells for clinical applications. Her group has developed a novel and clinically feasible method for the ex vivo expansion of cord blood derived hematopoietic stem and progenitor cells in the presence of Notch ligands. This work was translated into a novel pilot study investigating the use of ex vivo expanded cord blood progenitors to augment conventional cord blood transplantation. She has since extended this work to investigate the potential of cryopreserved, non-HLA matched “off the shelf” ex vivo expanded cord blood progenitor cells to provide rapid but transient myeloid reconstitution in the setting of cord blood transplant and following dose-intensive chemotherapy.

世話人: 〇東條 有伸(分子療法分野)
  大津 真(幹細胞プロセシング分野)
開催日時: 2017年6月12日 17:00 〜 18:00
開催場所: 1号館地下1階 B—2会議室
講師: 平田 喜裕
所属: 東京大学医学部附属病院消化器内科・特任講師
演題: 消化管における炎症と発癌機構の解明
概要:

消化管は、個体の維持に必要な栄養を外部から取り込み、消化、吸収を経て不要物を排泄する臓器である。体内でも最大規模の免疫組織を伴い、微生物や食事抗原と常時反応している。粘膜のバリア機能、免疫反応、消化管内容物は恒常性を維持するように相互作用をしているが、その破綻により、炎症や発癌を引き起こす。1984年に発見されたヘリコバクターピロリの病原性の研究は、ヒトと細菌の相互反応機序の解明、そして胃炎、胃癌の治療や予防に貢献した。粘膜免疫においては、近年のシークエンス技術や培養法の発展により腸内細菌叢の形成とその恒常性の破綻がヒトの消化管、さらに個体全体に与える影響も解明されつつあり、炎症性腸疾患やメタボリックシンドロームの制御も視野にはいってきた。一方消化管は悪性腫瘍の好発臓器として知られ、発生数は未だに増加している。ヘリコバクター感染によって発症する分化型胃癌は、除菌および感染率の低下によって期待されるが、大腸癌や胃食道接合部癌などは増加している。近年の網羅的遺伝子解析、幹細胞培養技術の進歩から、癌幹細胞とその遺伝子異常による発癌機序が徐々に解明されてきており、将来的な消化器癌の制圧が期待されている。
本セミナーでは消化管疾患にかかわる上記メカニズムについて我々の研究結果を紹介する。

世話人: 〇東條 有伸(分子療法分野)
  四柳  宏(感染症分野)
開催日時: 2017年7月6日 16:00 ~ 17:00
開催場所: 総合研究棟4階会議室
講師: 足立 拓也
所属: 東京都保健医療公社豊島病院 感染症内科医長
演題: 2014~2016年のシエラレオネにおけるエボラ出血熱:臨床医の視点から
概要:

西アフリカ3か国を中心に発生したエボラ出血熱は、過去最大の流行となり、世界に大きな衝撃をもたらした。2014年と2015年の2回にわたり、演者は世界保健機関と短期コンサルタント契約を結び、シエラレオネの最前線で疾患対策にあたった。本セミナーでは5つの疑問を取り上げて、今回の流行の本質について考察を試みる。
1. なぜ流行がこれほどまで拡大したのか
2. なぜ従来の手法では制圧できなかったのか
3. どのような臨床経過をたどるのか
4. なぜ医療従事者の感染が相次いだのか
5. なぜ大規模な流行が終息したのか
人類史に大きな影響を及ぼした感染症として、古代の天然痘、中世のペスト、近代のコレラ、現代のHIV/AIDSが挙げられるが、今回のエボラ出血熱の流行も人間性にとって重大な意味を持つ。ウイルスからの挑戦に私たちはどう対応すればよいのか、皆さんとともに議論を深めたい。

世話人: 〇河岡 義裕(ウイルス感染分野)
  川口 寧(ウイルス病態制御分野) 
開催日時: 2017年7月25日 13:00 ~ 14:00
開催場所: 総合研究棟4階 会議室
講師: Chuck Shoemaker
所属: Professor, Tufts Cummings School of Veterinary Medicine
演題: Camelid VHH-based neutralizing agents (VNAs) as unconventional and versatile disease therapeutics
概要:

Camelid heavy-chain-only VH domains (VHHs) offer an efficient and effective alternative to conventional antibodies. DNAs encoding these unconventional antibodies are more easily cloned and typically express to higher levels than conventional antibodies. Furthermore, recombinant VHH protein products are generally more stable than conventional antibodies, commonly bind the active sites of targeted proteins to neutralize their functions, and are highly amenable to multimerization. Heteromultimers of pathogen-neutralizing VHHs, called VHH-based neutralizing agents or VNAs, are often much more potent and efficacious than monomer VHHs when tested as therapeutics in animal models of many diseases, and permit the targeting of multiple toxins with a single agent. For example, VNAs have proven highly effective in treating infections with Clostridium difficile and enterohemorrhagic E. coli (EHEC), as well as lethal exposures to botulinum neurotoxins, ricin, Shiga toxins and anthrax. VNAs express to high levels in the serum of treated animals following gene therapies such as RNA nanoparticles and adenoviral vectors, and provide prolonged protection from pathogen infections and toxin exposures. VNAs have also been engineered for expression on the surface of red blood cells (RBCs) and the modified RBC/VNAs persisted in blood for as long as normal RBCs, showed virtually no immunogenicity, and provided long-term anti-pathogen protection. Because of their demonstrated stability and versatility, VNAs appear to have particular promise for prevention and treatment of enteric diseases.

世話人: 〇清野 宏 (炎症免疫学分野)
 三宅 健介(感染遺伝学分野)
開催日時: 2017年5月29日 17:00 ~ 18:00
開催場所: 病院棟8階 大会議室
講師: 山田 泰広
所属: 京都大学iPS細胞研究所 未来生命科学 開拓部門幹細胞腫瘍学分野・教授
演題: iPS細胞技術を応用したがん研究
概要:

人工多能性幹細胞(iPS細胞)の樹立過程では、遺伝子配列の変化は必要としない一方で、DNAメチル化などのエピジェネティック修飾状態がダイナミックに変化する。我々は、リプログラミング技術を細胞のエピゲノム制御状態を積極的に改変するツールとして捉え、がん細胞に応用することで、遺伝子変異を有するがん細胞のエピゲノム制御状態を変化させ、がん細胞の運命制御の可能性を検討している。
 EWS/ATF1融合遺伝子誘導による明細胞肉腫モデルマウスから樹立された肉腫細胞株からiPS細胞作製を試みた。肉腫細胞株に細胞初期化因子を誘導することで、iPS細胞様の細胞株が樹立できた。興味深いことに、樹立されたiPS細胞様細胞株は、親株である肉腫細胞株と共通する染色体異常および遺伝子変異を有するにも関わらず、多能性を有し、キメラマウスへの寄与が可能であった。がん細胞の遺伝子配列異常を持つ多能性幹細胞が樹立できた。しかし、肉腫由来iPS細胞から作製したキメラマウスは、速やかに二次性の肉腫を形成した。本発表では、肉腫細胞株に加えて、Apc Minマウスモデル大腸腫瘍細胞を用いたがん細胞の初期化の試み、および初期化がん細胞の再分化後の性質変化について紹介する。がん細胞の初期化、再分化から明らかになりつつある、細胞分化に関わるエピゲノム制御と発がんの接点について議論したい。さらに、がん細胞運命制御の可能性を提示する。

世話人: 〇吉田 進昭(発生工学研究分野)
  武川 陸寛(分子シグナル制御分野)
開催日時: 2017年5月23日 18:00 ~ 19:00
開催場所: 病院棟8階 大会議室
講師: 山本 雅裕
所属: 大阪大学微生物病研究所感染病態分野, 大阪大学免疫学フロンティア研究センター免疫寄生虫学教室・教授
演題: 病原性寄生虫「トキソプラズマ」と宿主間の免疫学的攻防
概要:

トキソプラズマはヒトや家畜で致死性のトキソプラズマ症を引き起こす病原性寄生虫である。トキソプラズマ感染に対して、宿主体内では自然免疫系からインターロイキン-12が産生され、その結果獲得免疫系細胞であるT細胞が分化・活性化することにより大量のインターフェロンーγ(IFN-γ)が産生される。IFN-γは自然免疫系に再びフィードバックされることで多種多様なIFN-γ誘導性遺伝子群が導出され、その中でも特にIFN-γ誘導性GTPase群やユビキチンなどによる細胞自律的なトキソプラズマ殺傷反応が引き起こされる。急速に明らかになりつつあるその正・負の制御メカニズムの中で、近年、オートファジー必須分子群(Atg分子群)のIFN-γ誘導性GTPase依存的な免疫系への関与が特に注目されている。一方、トキソプラズマには高病原性の系統が存在し、様々な病原性エフェクター分子群を放出することで宿主免疫系を抑制していることが明らかとなってきた。
 本セミナーでは、最近の演者らの研究成果を中心に、トキソプラズマの寄生虫免疫学研究の最先端を紹介する。

世話人: 〇吉田 進昭(発生工学研究分野)
  武川 陸寛(分子シグナル制御分野)
開催日時: 2017年5月23日 16:00 ~ 17:00
開催場所: 2号館2階 大講義室
講師: Michael Kahn
所属: Co-Director
Center for Molecular Pathways and Drug Discovery,
University of Southern California
演題: From Bench to Bedside: A Tale of Two Coactivators
概要:

From a Wnt signaling phenotypic screen in colorectal cancer cells utilizing a proprietary secondary structure mimetic library that we designed and synthesized, we identified ICG-001. After identification and validation of its molecular target, ICG-001 has become an invaluable tool to examine critical signaling pathways in stem cell biology both in development and disease. A second-generation analog PRI-724, entered Phase I clinical studies in 2011 and continues to be investigated in multiple trials both in oncology and hepatic fibrosis. I will discuss both the fundamental discoveries regarding differential coactivator usage in stem cells and cancer stem cells and the clinical investigations that have evolved over the years from this simple phenotypic screen and the discovery of ICG-001.

世話人: ○古川 洋一(臨床ゲノム腫瘍学)
 武川 睦寛(分子シグナル制御分野)
開催日時: 2017年5月18日 10:00 ~ 11:00
開催場所: 2号館2階小講義室
講師: 小椋 俊彦
所属: 産業技術総合研究所 バイオメディカル研究部門 上級主任研究員
演題: 水溶液中の生物試料をそのまま高分解能で観察する誘電率顕微鏡の開発
概要:

これまで電子顕微鏡を用いて水溶液中のそのままの生物試料や有機材料を観察することは電子線ダメージやコントラストが低いため極めて困難でした。今回開発した電子線走査誘電率顕微鏡では、水溶液中のそのままの細胞やバクテリア、ウイルス等を 10nm以下の高分解能でダメージ無く観察することが可能です。観察方法は、電子線入射にともなう微小領域の電位変化を検出し、水とサンプルの比誘電率の差によりコントラストが形成され、極めてクリアな画像を得ることが出来ます。さらに電子線は、試料ホルダーの薄膜面で吸収されるため、電子線ダメージも殆ど生じません。本方法により、これまで困難であった生きた細胞やウイルスさらにはナノ粒子の分散状態を水溶液中で直接観察することが可能となります。

世話人: ○河岡 義裕(ウイルス感染分野)
 川口 寧(ウイルス病態制御分野)
開催日時: 2017年5月18日 18:00 ~ 19:00
開催場所: 2号館2階 小講義室
講師: Rajendra S. Apte
所属: Paul A. Cibis Distinguished Professor of Ophthalmology Professor of Developmental Biology and Medicine
Director of Translational Research and Jeffrey Fort Innovation fund Washington University School of Medicine
演題: Cholesterol Homeostasis, Aging and the Eye
概要:

Apte教授は黄斑変性症を中心に、視細胞の生存と変性について、主に免疫学的環境の視点から研究を展開しておられます。昨年は、NADの視細胞変性と加齢との関係についてCell Repに発表され話題となりました。今回横浜で開催されるキーストンミーティングのために来日されるのを期に、最新の話題であるコレステロールと網膜/加齢についてについてお話くださることになりました。皆様のご来聴をお待ちしております。

世話人: ○渡辺 すみ子(再生基礎医科学)
 中内 啓光 (幹細胞治療分野)