東京大学医科学研究所

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学友会セミナー

最新の学友会セミナー

開催日時: 2019年8月9日 17:00 ~ 18:00
開催場所: 1号館 講堂
講師: 吉田 富
所属: Burke Neurological Institute / Weill Cornell Medicine
Associate Professor
演題: Formation, function, and regeneration of corticospinal circuits underlying skilled movements
「運動系の神経回路の形成、機能、再生」
概要:

We have been interested in understanding the neural circuits underlying locomotor and skilled motor behaviors in mammals. The motor neuron activity integral to these neural circuits is regulated by synaptic inputs from three main pathways: local interneuron circuits, proprioceptive sensory feedback, and descending fibers from the brain, including the corticospinal (CS) tract.
In this presentation, I will particularly focus on CS circuits. CS neurons control motor neuron activity for skilled movements such as reaching and grasping. We found how species-specific CS circuits may be formed during development. Manual dexterity in higher primates is superior to that of other animals. This trait emerged together with the appearance of cortico-motoneuronal (CM) connections during the evolution of the mammalian CS system, and was thought to be unique to higher primates. However, we identified CM connections in early postnatal mice, which are eventually eliminated by Sema6D-PlexA1 signaling. PlexA1 mutant mice maintain CM connections into adulthood, resulting in superior manual dexterity compared to controls. Furthermore, we showed that species-specific regulation of PlexA1 expression by Fezf2 may be crucial to the evolution of enhanced fine motor control in higher primates. We also demonstrated how the activity dependent, non-apoptotic Bax/Bak-caspase pathway regulates reorganization of CS motor circuits during development in mice. Finally, I will talk about how CS neurons in the motor and sensory cortex differentially control skilled movements through distinct spinal interneuron connections as well as our current ongoing projects.
In addition to the formation and function of motor circuits, we are also interested in the regeneration and reorganization of neural circuits following spinal cord injury (SCI). Time permitting, I will briefly talk about our SCI research including roles of semaphorins in inhibition of regeneration of injured CS axons as well as our published study at the end of my talk.
References
1) Gu et al., Science (2017), 357, 400-404.
2) Gu et al., Neuron (2017), 94, 626-641.
3) Ueno et al., Cell Reports (2018), 23, 1286-1300.
4) Ueno et al., Nature Neuroscience (2016), 19, 784-787.

世話人: 〇井上 純一郎 (分子発癌分野)
 山梨 裕司 (腫瘍抑制分野)
開催日時: 2019年8月5日 14:00 ~ 15:00
開催場所: 国際粘膜ワクチン開発研究センター会議室(4号館3階)
講師: 柴田 岳彦
所属: 国立感染症研究所免疫部・主任研究官
演題: RSウイルス感染症とワクチン開発
概要:

ほぼ100%の乳幼児が2歳までに respiratory syncytial virus (RSウイルス) に感染し、細気管支炎や肺炎といった重篤な下気道疾患に陥ることがある。一方、健康な成人では感冒程度の軽症で済むことが多いが、それでも繰り返し感染する。RSウイルス感染による重症化は乳児に限らず高齢者でもみられ、しばしば肺炎球菌などによる二次性細菌感染の原因となる。また喘息や COPD などの呼吸器基礎疾患があると、RSウイルス感染による増悪が誘導されることがある。このような状況下、RS ウイルス感染症に対する根本的なワクチンや治療薬の開発には至っていない。1960 年代に行われたRSウイルスワクチンの臨床試験では、有効な抗RSウイルス抗体が誘導されなかったばかりか、接種後の RS ウイルスの自然感染に伴いアレルギー性気道炎症がおき、かえ って病態が悪化し、死に至るケースもあった。現在考えられているこの原因は、RSウイルスのglycoprotein (Gタンパク)が誘導する過剰な2型免疫応答である。それゆえ世界的にはRSウイルスのfusion proteinを抗原としたワクチン開発が進められている。それでもなお、臨床試験での成功には至っていない。これに対して我々は、growth arrest specific 6 /Axlシグナルの新しい役割に注目し、1.従来のRSウイルスワクチンによるアレルギー発症機構、2.Gタンパクを標的としたワクチン開発の可能性、3.RSウイルス感染に伴う二次性細菌感染の誘導機構を見出した。本セミナーでは、我々の研究成果とともにRSウイルス感染症とワクチン開発について紹介する。

世話人: 〇清野 宏 (粘膜免疫学部門)
 藤橋 浩太郎 (臨床ワクチン学分野)
開催日時: 2019年7月30日 17:00 ~ 18:00
開催場所: 2号館小講義室
講師: Robert M. Hoffman
所属: Professor・Department of Surgery, University of California, San Diego Medical Center
President, Chairman of Board and CEO・AntiCancer, Inc.
CEO・Robert M. Hoffman Foundation for Cancer Research
演題: Targeting the general cancer metabolic defect of methionine addiction with recombinant methioninase in patient-derived orthotopic xenograft (PDOX) mouse models
概要:

It has been known for 60 years since Sugimura’s first observation that tumors have a specific and elevated dependence on methionine. Our laboratory showed in the 1970s and 1980s that cancer dependence on methionine is do the elevated flux of methionine in cancer cells due to abnormally high levels of trans-methylation reactions. Methionine restriction of cancer cells results in severe depletion of methionine and S-adenosylmethionine and cancer-selective arrest in the S-phase of the cell cycle. Our laboratory developed the bacterial enzyme methioninase to target methionine addiction of cancer cells and recently found that methioninase can be effectively delivered orally in patient- derived orthotopic xenograft (PDOX) mouse models. Methioninase alone and in combination with chemotherapy was highly effective in PDOX models of sarcoma, pancreatic cancer, melanoma and colon cancer, suggesting a high potential of methioninase in the clinic.

世話人: 〇谷 憲三朗 (ALA先端医療学社会連携研究部門)
 井上 純一郎 (分子発癌分野)
開催日時: 2019年7月23日 17:00 ~ 18:00
開催場所: 2号館小講義室
講師: Zoltan Fehervari
所属: Senior Editor, Nature Research
演題: Science Publishing: Myths and Legends
概要:

Publishing- for good or ill it’s an inescapable part of a life in science. Zoltan Fehervari a senior editor at Nature Research discusses what goes on ‘under the hood’ as editors make their decisions and offers some insights into the kind of thing editors look for, common misconceptions, as well as some ruminations on data presentation, impact factors and the general science publishing landscape.

世話人: 〇清野 宏 (粘膜免疫学部門)
 藤橋 浩太郎 (臨床ワクチン学分野)
開催日時: 2019年6月21日 16:30 ~ 17:30
開催場所: 病院棟8階 大会議室
講師: 古瀬 祐気
所属: 京都大学 白眉センター/ウイルス・再生医科学研究所 特定助教
演題: ウイルス学✕公衆衛生✕分子進化
概要:

感染症はいまなお人類の脅威であり、特にウイルス感染症に対する治療法はほとんどなく、病態も不明な部分が多いのが現状です。私は、これまで医師・基礎研究者・公衆衛生官などさまざまな立場に身を置きこの問題を扱ってきました。その経験を活かし、臨床ウイルス学・疫学・数理生物学・進化学・分子生物学を融合させた研究を行うことで、ウイルス感染症の統合的な理解を目指しています。
本セミナーでは、2つの話をさせていただきたいと思います。2014年、西アフリカでエボラが大流行しました。道端に遺体がころがり、医者がつぎつぎと国外へ逃げ出すなか、わたしはWHOコンサルタントとして“そこ”にいました。その経験を紹介しつつ、そのときに一体何ができるのか・そして何をすべきなのかを、みなさんと一緒に考えていきたいと思います。
後半ではがらりと話題を変え、わたしが最近開発した、進化に関する新しい解析ツールを紹介したいと思います。フィットネスを高める変異が出現しその変異をもつ個体が進化の過程で選択されたときに(selective sweep)、どの変異によってフィットネスが高まったのかをみつけられる、というものです。みなさんの研究にも役立つといいなと期待(妄想)していますので、どうぞよろしくお願いいたします。

世話人: 〇河岡 義裕 (ウイルス感染分野)
 川口 寧 (ウイルス病態制御分野)
開催日時: 2019年6月10日 14:00 ~ 15:00
開催場所: 4号館3階 セミナー室
講師: 細見 周平
所属: 大阪市立大学大学院医学研究科 消化器内科学・講師
演題: 腸管炎症と小胞体ストレス 〜 小胞体DistressとEustress〜
概要:

変性タンパク質の小胞体への蓄積で生じる小胞体ストレス(ERストレス)は、種々の疾患の原因に関与することが知られ、炎症性腸疾患と総称される潰瘍性大腸炎やクローン病でも、腸管が過剰なERストレス状態にあることが報告されている。また、ERストレス応答の主要な転写因子であるX-box-binding protein 1 (XBP1) の機能低下型変異は炎症性腸疾患のリスク因子として同定されている。このことを裏付けるように、Xbp1遺伝子を腸管上皮細胞で特異的に欠損させたマウスでは、腸管は過剰なERストレス状態となり、その結果としてクローン病に類似した自然発症小腸炎が生じることも証明されている。このマウスの詳細な検討から、腸管上皮のERストレスがNKG2D ligandの一つであるMULT1を誘導し、NKG2Dを発現する腸管上皮間のgroup 1 innate lymphoid cells を介して炎症を惹起していることが明らかとなった(Distress)。その一方で、腸管上皮のERストレスは、腸管炎症に対して保護的な作用を有するIgAを、T細胞・炎症・腸内細菌非依存的に誘導していることも判明した(Eustress)。本演題では、これらに関連した研究成果を紹介する。

世話人: 〇三宅 健介 (感染遺伝学分野)
 植松 智 (自然免疫制御分野)
開催日時: 2019年6月27日 16:00 ~ 17:00
開催場所: 2号館2階 大講義室
講師: 遠藤 英也
所属: 九州大学名誉教授  鳥取大学名誉教授
東京大学医科学研究所 分子発癌分野 客員研究員
演題: 私の、医科研における、抗ガン剤開発への歩み
S100A4-targeted peptide inhibitor
概要:

細胞の不死化と癌化の関連を想定した作業仮説に端を発し、不死化遺伝子のクローニングを経て、分離された遺伝子のコードする蛋白質がS100A4と同定され、翌1989年同じ遺伝子・産物が高転移乳がん細胞からも分離同定されるに及び、S100A4は一躍、metastasis-promoting protein として脚光を浴び、爾来30年間、膨大な研究業績に支えられ今日に至っている。その経緯の中で、癌の転移の克服が、癌治療の命題の一つと云う観点から、S100A4 inhibitor の探査も行われてきた。S100A4は小さな酸性のカルシウム結合蛋白質からなるS100 familyの一員で、カルシウム依存的にeffector蛋白質と結合する特性が知られ、既に数種のeffector 蛋白が報告されている。一方S100A4の各種、組織細胞に於ける発現をみると、色々な癌で良く発現している他、正常なリンパ組織、マクロファージ、血管内皮細胞等にも結構な量の発現が観察される。以上の知見を踏まえて1995年、医科研森人体病理研究室でS100A4 inhibitorの探査実験を開始、先ず酵母の2 hybrid screen法を用いて、自前の、新effector 蛋白質、methionine aminopeptidase 2 (MetAP2)を得た。次いで、その結合ドメインを60aa;MetAP2(170-229)に濃縮し、それを血管内皮細胞に過剰発現させたところ 強い増殖阻害が観察された。S100A4に対するMetAP2と60aaの競合が齎したこの結果からS100A4-targeted peptide inhibitorの想定が浮上した。この想定を検証すべく60aaを更にN端39aa(NBD)に濃縮し、その阻害能を調べたところ、腫瘍血管形成阻害を介した抗腫瘍性が示された。他方NBDの構造特異性から機能と構造の相関も明らかにされた。NBDには亦、ヒト乳がん細胞の浸潤能を1/2に低下させる阻害効果が観察され、分子機構も解明されたが、その肺転移能に及ぼす効果については目下検証中である。最後に、S100A4-targeted peptide inhibitorについて考察を試みたい。

世話人: 〇井上 純一郎 (分子発癌分野)
 山梨 裕司 (腫瘍抑制分野)
開催日時: 2019年5月22日 11:00 ~12:30
開催場所: 4号館3階 セミナー室
講師: 古賀 貴子
所属: 昭和大学歯学部 歯科薬理学 講師
演題: 骨と免疫系の総括的な理解による骨疾患の病態解明
概要:

骨組織は破骨細胞による骨吸収と骨芽細胞による骨形成を繰り返し、その恒常性を維持しています。破骨細胞と骨芽細胞は細胞間コミュニケーションを介して吸収と形成のバランスを適切に制御し、このバランスが破綻すると骨粗鬆症や骨破壊といった骨疾患を引き起こします。また、関節リウマチや歯周病では、過剰に活性化した免疫応答が骨破壊を引き起こすことも解明されています。そのため、近年、破骨・骨芽細胞だけでなく、免疫系細胞も含めたネットワークを総括的に理解する骨免疫学が発展し、炎症性骨破壊の病態理解と治療法開発の分子基盤構築が急速に進んでいます。一方で、骨粗鬆症は炎症性骨破壊のみならず、脳を含めた様々な臓器の疾患に付随することも知られており、逆に、骨粗鬆症は認知症などの脳疾患を発症・増悪させるとも言われています。骨粗鬆症や脳疾患は高齢者に多いことから、超高齢社会を迎えた我が国では、骨粗鬆症と脳疾患の悪循環を断ち切り、治療、さらには予防する方法の開発が望まれています。
本セミナーでは、骨免疫学が明らかにした破骨・骨芽細胞制御と骨疾患の病態理解を中心に、骨と脳・神経といったこれからの他臓器連関研究における展望についても最近の知見を交えてご紹介させていただきたいと思います。

世話人: 〇三宅 健介 (感染遺伝学分野)
 石井 健 (ワクチン科学分野)
開催日時: 2019年5月20日 16:00 〜 17:00
開催場所: 病院A棟 8階南会議室
講師: 黒川 友博
所属: ハーバード大学医学部マサチューセッツ総合病院 
外科 Research Fellow
演題: B7-H3をターゲットとした膵癌に対するCAR-T療法の開発
概要:

キメラ抗原受容体(CAR)は、主に腫瘍関連抗原(TA)に特異的に結合する一本鎖抗体,CD3ζ鎖およびT細胞共刺激分子の3者から構成される合成T細胞受容体のことである。B細胞上に発現する CD19に対するキメラ抗原受容体を発現させた遺伝子改変T細胞が再発・難治性のB細胞性腫瘍に対して有効であることが注目を集めている。一方で、固形がんに対しては十分な効果が得られていない。今回我々は、膵癌細胞と膵癌癌幹細胞の両方で発現し、正常組織ではほとんど発現が認められないB7‐H3をターゲットとして選択し、その特異的モノクローナル抗体からCAR-T細胞を作製した。このB7-H3 CAR-T細胞の効果を、膵癌細胞株を用いたin vitro共培養実験および免疫不全マウスを用いた同所移植モデルで評価したところ、ヒト膵管細胞株を特異的に認識し、効率的に除去し、さらにはマウス同所移植モデルにおいても高い抗腫瘍活性を示した。これらのことからB7‐H3 CAR-T細胞は、膵癌の免疫療法を実施するための有用なツールであることが示唆された。

世話人: 〇北村 俊雄(細胞療法分野)
藤堂 具紀(先端がん治療分野)
開催日時: 2019年4月26日 13:30 ~ 14:30
開催場所: 2号館 大講義室
講師: Miguel A. Esteban
所属: Guangzhou Institutes of Biomedicine and Health, Chinese Academy of Sciences, Guangzhou・ Chief Scientist
演題: Regulation of RNA-protein interactions
概要:

The classic dogma of biology that RNA’s function is just producing proteins has been debunked. We now know that non-coding RNAs are essential regulators of cell function and also that messenger RNA transcripts can exert functions independent of coding proteins. Paradoxically, most if not all these roles require interaction of RNA with proteins. I will describe new technologies for characterizing RNA-protein interactions, as well as the potential relevance and regulatory modes of such interactions.

世話人: 〇山田 泰広 (先進病態モデル研究分野)
 小沢 学 (生殖システム研究分野)