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大学院生の体験談



 私が医科学研究所に来てから、早4年が過ぎようとしています。現在は、理学系研究科生物化学専攻の博士課程に在籍し、分子細胞情報分野(斎藤春雄教授)で研究を行っています。今回は理学系研究科の学生の視点から、医科学研究所での研究生活を紹介したいと思います。大学院進学を前にした皆さんの、進路決定の参考の一つにして頂ければ幸いです。
 
 
大学時代から東京大学理学部生物化学科に所属していた私は、更に専門分野の知識を深め、研究を行いたいと考え、生物化学専攻の修士課程を受験することに決めました。研究室を選ぶにあたり、医科学研究所で毎年行われている大学院説明会に参加しました。説明会では、どの研究室もそれぞれの分野で世界をリードする最先端の研究活動を行っていることを実感しました。同時に、基礎研究が実際の医療と密接に関わる位置で行われている点にも大変惹かれました。
 
実際に生物化学専攻に入学すると、主に修士課程前半では、研究を開始すると共に講義を受講します。これらの講義では、専攻の先生がたはもちろんのこと、学内外の先生がたのお話を間近で聞くことができ、幅広い知識を得ることができます。講義は医科研で行われるものもありますが、本郷キャンパスで行われる講義にも足を伸ばすことで、他の学生との交流の機会にもなりますし、良いリフレッシュにもなり、バランスの取れた研究生活が実現できると思います。
 
研究活動に関しては、医科研は最高の研究設備を備えていることは言うまでもありません。希望すればどの様な実験でも行うことが可能だと思います。更に医科研では、研究室の垣根を越えたセミナー、実習などが頻繁に開催されています。実際私も大学院実習に参加し、他の研究室をいくつか訪問する機会がありました。そこで、新しい実験技術や装置の使用方などを学び、その経験が今の自分の研究に大きく役に立っています。
 
私自身、このような恵まれた研究環境に居ることを自覚し、それを十分に活かせるように日々努力していきたいと考えています。皆さんにとって医科学研究所が、ご自身の可能性を引き出し、希望を実現する場となりますようにお祈り致します。
恵まれた研究環境-医科学研究所


 医学部を卒業後、研究への憧れから病理診断科に進み、「さて研究を!」と考えたとき右も左も判らない私にとって、研究とはどういうもの?何処に進もうか?という感覚でしかありませんでした。そんな状況の中、医科学研究所を選んだのは、直属の上司が医科学研究所 細胞遺伝研究部(現腫瘍抑制研究分野)、澁谷正史教授のもと研究をしていたという単純な理由から、また私自身、手術時に得られる臨床材料を用いて血管新生と予後の相関関係に関する研究をしていたということが縁となり、血管生物学を研究されている澁谷教授のもとへ大学院生としてお世話になることになりました。入学後、すぐ教授直々にクローニングを指導して頂き、恐る恐る研究をスタートしたことが僅か数ヶ月前のように思い出されます。その後は、人並みの苦労(失敗の繰り返し?)を経験しながら研究を行い大学院卒業、ポスドク、現在は助手として研究業務に従事しております。

今回は、「医科研を選んだ理由」ならびに「医科研を選んでよかったこと」というテーマですので、医科研での研究で得られたこと、医科研の特徴などを述べてみたいと思います。  医科学研究所の大きな特徴として、所内に各分野で素晴らしい仕事を成し遂げられている先生方がおられ、それらの研究室と常に自由な雰囲気で、研究をはじめ個人レベルまで様々な交流があることです。例えば、各研究室が有する技術、資源をジョイントさせ、ほかの追随を許さないような共同実験、また実験でうまくいかないようなことがあった時には、その分野のスペシャリストに相談しトラブルシューティングなど、世界レベルを牽引する頭脳、技術、資源を利用できることです。ほかにも、国内・国外から著明な研究者を招いて行われる学友会セミナーの開催、研究成果を発表する医科学研究所セミナー、国内の諸研究所(阪大・微生研、京大・ウイルス研など)間で行われる研究所ネットワークセミナーなど、サイエンスの交流、刺激は日常的なもので途絶えることがありません。

私自身も、医科研内で共同実験を行い、導き出された研究成果を国内外の多くの学会で発表できたこと、そして世界トップの研究者らと議論し、サイエンスの繋がりを構築できたことできたことは、とても素晴らしい経験でありました。また医科学研究所セミナーを始め、様々な学会などで、幸運にも奨励賞などを頂いたのですが、医科研で研究を遂行しているものとして、医科研をとても誇りに思います。このように医科研で研究していたからこそ、得られたであろうということを何度も経験しました。

私は2007年より留学予定で医科研を離れてしまいます。しかし、自身の研究のスタート地点であり、日本に帰ってくればまた帰ってきたいと思う素晴らしい研究所です。

皆さん、医科学研究所での研究生活いかがですか? 唯一無二の存在ですよ!
医科学研究所を選んで


 受験生のみなさんこんにちは。大学学部あるいは修士課程の卒業研究が進む中、大学院の進路選択に悩んでいる人も多いのではないでしょうか。私もそんな1人でしたが、修士課程進学の際、内部進学にしようか迷っていた時期がありました。しかし尊敬する多くの先生方が、ここ東京大学において御活躍されてきた事実が私の背中を「前へ」押してくれたような気がします。というのも、研究室を選ぶ際、「先輩の姿を見なさい。」とよく言われますよね。「その先輩の姿が近い将来のあなたの姿でしょう。」と。私はこの言葉を学生生活の姿だけでなく、もっと遠くの未来にまであてはめることができるのではないかと考えました。つまり目標とする先生方がどのような環境で成功してきたのか。私は身近にいた尊敬する先生の教育・研究に対する姿勢そして情熱に憧れ、自分も同じ土俵に立ってどこまでできるか挑戦しようと決心し東京大学大学院への進学を決めました。現在は東京大学医科学研究所炎症免疫学分野(清野宏教授)で3年目を迎えています。

ここ医科学研究所はどんな場面においても「チャンス」が大きい場であると感じています。充実した設備環境、国内・国外からの著明な研究者との交流機会、東大だからこそ研究・遂行できるプロジェクトなど、溢れる好奇心を満たしてくれるその研究環境はすばらしいと感じています。それにも増して同年代の学生との日常生活を通してのつながりは最も大切な要素です。ここ東京大学に集まる大学院生は何よりも学問に対する情熱に溢れ、研究すること自体を最高の喜びと感じる心を持っています。そうした仲間と切磋琢磨し合う日々は研究者としての資質を必ず高めてくれるはずです。また、研鑽を重ねた結果として研究成果発表の機会も多く、私はこの3年間のうちに国内・国外での国際学会発表はもとより、英文原著論文、日本語総説を執筆する機会を得ました。研究に対する取り組みに責任感が芽生え、世界の最前線で研究を行っている感覚を実感する毎日です。

数多くのリーダーを輩出し、長きにわたる伝統を誇るここ東京大学の地で、みなさんが大きな「チャンス」をつかみ取ることを心よりお祈り申し上げます。

2004年 明治大学農学部 卒業
2004年 東京大学大学院医学系研究科医科学修士課程 入学
2006年 東京大学大学院医学系研究科医科学修士課程 修了
2006年 東京大学大学院医学系研究科病因・病理学専攻 入学
東京大学で研究する魅力



 私は大学の卒業研究では実験動物としてメダカを用いて研究を行っていましたが、大学院では遺伝子改変マウスを使って医学研究をしたという理由で医科研に所属する現在の研究室を選びました。実際に入ってみると、医科研は実験設備が充実していて自ら望めば出来ない実験はないと思います。さらに研究所には教科書や参考書でよく名前を目にする多く有名な先生方がいて最先端の研究を身近で感じることができて、とても刺激的な環境で研究を行えて満足しています。

医科研周辺は人も少なくて東京にしては静かな環境だと思います。また美味しいお店も多く、満員電車に慣れてしまえば交通の便も良いため充実した大学院生活を送ることが出来ています。

将来、生体内の生命現象を明らかにするとき、大量の情報やデータを扱う技術が必要になると思い現在の情報生命科学専攻に入ることにしました。専攻ではバイオインフォマティクスやプログラミングの基礎を授業で学び、それを医学研究に活かせるように現在のテーマを進めています。情報系のプログラミングなどは初めて学ぶ分野だったので授業では苦労しましたが、違う分野について学ぶことで今までなかった視点から生物をみることができとてもためになりました。これらの経験を今後の研究生活に活かしていきたいと思います。
充実した設備と身近に感じる最先端の研究・・・刺激的な環境